感染症の検査
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微生物感染症の検査
感染症とは?
自然界には動物などに寄生している微生物と、生体内や食品などヒトを取り巻く環境に自由に生存している微生物があります。微生物が宿主に侵入し、本来存在しない場所に定着して増殖することを感染とよび、何らかの臨床症状が引き起こされた状態を感染症といいます。
1.病原体 | 感染症を起こす微生物を病原体(病原微生物、起炎微生物)といいます。また、近年感染症が変貌し、感染症分布図が年々変化しています。 |
2.感染源 | 感染したヒトや環境に病原体が存在する場合、これを感染源といいます。感染した患者さんや感染動物の排泄物・分泌物などが感染源になることが多いです。 |
3.感染経路 | 直接感染と間接感染に大別されます。直接感染には手、口や性器を介する感染(接触感染)と飛沫感染があります。一方、間接感染は感染を仲介するものが存在し、食品を介するもの(食中毒、腸管感染症)や水を介する水系感染(赤痢など)があり、これらは経口感染です。 |
感染症の発症
微生物と宿主の力関係によって、感染症の発症が左右されます。近年感染症が多様化していますが、入院患者さんの多くは免疫学的な抵抗力が低下し、コンプロマイズド・ホスト(易感染宿主)となっています。このような状況下では、院内感染や環境由来菌による感染が隆盛となっているので注意が必要です。
また、病院外の感染すなわち市中感染で忘れてならないのが、国際交流の活発化による輸入感染症、性の自由化による性病の増加であり公衆衛生上、大きな社会問題になっています。
下図は病院を取り巻く環境における感染症の現状を模式化したものです。
また、病院外の感染すなわち市中感染で忘れてならないのが、国際交流の活発化による輸入感染症、性の自由化による性病の増加であり公衆衛生上、大きな社会問題になっています。
下図は病院を取り巻く環境における感染症の現状を模式化したものです。
感染症の種類と分類
感染症の分類方法としては、病原体別、感染部位(臓器)別が通常であるが、ここでは実践的な見地から感染部位(臓器)別に主要な感染症を列記します。
1.全身感染症 | グラム陽性球菌による敗血症が増加しており、その中でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は注意しなければならない存在です。また、深在性真菌症による敗血症も同様です。 |
2.中枢神経系感染症 | ウイルス性、細菌性感染症(肺炎球菌等)がありますが、特に治療診断上重要なものはヘルペスウイルスが挙げられます。 |
3.呼吸器感染症 | 肺炎が市中感染、院内感染で最も頻度が高い感染症です。 原因菌として市中感染ではマイコプラズマや肺炎球菌、インフルエンザ菌が挙げられます。院内感染は日和見感染菌としての黄色ブドウ球菌(MRSA含む)、緑膿菌などが挙げられます。その他注意が必要なものとして結核菌による感染症があります。 |
4.消化器感染 | 腸管感染症として代表的なものとして、サルモネラ菌、カンピロバクター菌、病原性大腸菌(腸管出血性等広義の)、黄色ブドウ球菌、ロタウイルスがあります。また、輸入感染症として赤痢菌、チフス菌などが挙げられます。 |
5.尿路感染症 | 急性の単純性尿路感染症起因菌の大半は大腸菌が占めています。複雑性尿路感染症の起因菌は緑膿菌や腸球菌が主流です。 |
感染症の臨床検査
感染症の診断は病原診断(起炎菌の同定)、血清診断を主体に行われています。
下図に細菌感染症における検査の進め方を示します。臨床医が検査室に望むのは、迅速な起炎菌の同定と薬剤感受性成績であります。当検査室の結果も診断・治療に役立っています。
下図に細菌感染症における検査の進め方を示します。臨床医が検査室に望むのは、迅速な起炎菌の同定と薬剤感受性成績であります。当検査室の結果も診断・治療に役立っています。
免疫の検査
人体は驚くべき生体防御機能を持っており、それを「免疫」と言います。免疫とはよく「自然治癒力」などと表現されますが、私たちの体では日々生体防御機能が働いて本来備わっている恒常性を維持しようと各器官が働いています。
当免疫血清検査室では免疫学的な手法を用いて、血清中の抗体や特異物質(細菌、ウイルス、蛋白等の抗原)を検出しています。
当免疫血清検査室では免疫学的な手法を用いて、血清中の抗体や特異物質(細菌、ウイルス、蛋白等の抗原)を検出しています。
検査項目 | 肝炎ウイルス(B型・C型)、梅毒、エイズ、成人T細胞性白血病、溶連菌、トキソプラズマ、マイコプラズマ、血漿蛋白(抗原) |