無痛分娩センター
無痛分娩センターでは、総合周産期母子医療センターの医師・助産師の協力のもと、産科麻酔を専門とする麻酔科医が中心になって「硬膜外分娩(いわゆる無痛分娩)」を提供させていただきます。ご希望の方は、産婦人科外来にてご相談ください。
<新型コロナウイルス等感染症に関する対応> 現在は分娩後の短時間面会*を許可しております。 *分娩後の短時間面会:経腟分娩の方のパートナーに限ります。感染している方は面会できません。院内ではマスクの着用をお願いします。 分娩の時期に感染症に罹患している場合は硬膜外分娩ができる方は限定されます。新型コロナウイルスに感染してから7日間は感染リスクがあり、この期間に分娩となる場合は様々な制約がある可能性をご承知おきください。 2024年4月 名古屋市立大学病院 産婦人科 無痛分娩センター |
無痛分娩センターが行う「硬膜外分娩」とは?
当センターでは、お産に伴う痛みが心配な方に対して硬膜外麻酔を用いた硬膜外分娩(いわゆる無痛分娩)を提供しています。硬膜外分娩では、硬膜外麻酔という背中からの注射による下半身麻酔でお産の痛みを和らげます。この方法は海外では最も一般的な産痛緩和の方法で、「硬膜外」を意味する「エピデュラル」は世界中の妊婦さんの共通語になっています。わが国で一般にいわれている「無痛分娩」と同じ方法ですが、当センターでは、より正確に「硬膜外分娩」という名前で呼んでいます。
「硬膜外分娩」のメリットについて
硬膜外分娩によりリラックスして出産することで、母児に良い効果が期待できます。健康な産婦さんであっても、痛みによる過呼吸を抑えることや、ストレスホルモンによる胎盤の血流悪化を抑えることは、硬膜外分娩のメリットといえるでしょう。特に、出産のストレスを軽減する必要のある持病(一部の心臓や血管の病気など)をお持ちの方にはメリットがあると考えられます。ただし、持病の種類や程度によっては硬膜外分娩を行うことが難しい場合や、病状を悪化させる場合もあります。
「硬膜外分娩」の方法について
産痛が強くなったら、麻酔科医が背中に硬膜外麻酔に使用するチューブ(硬膜外カテーテル)を入れる注射を行います。その後、麻酔科医が硬膜外カテーテルから麻酔薬を入れて産痛を和らげます。麻酔の発現を早めて効果を安定化するため、脊髄くも膜下麻酔(脊麻)の追加も積極的に行っています。麻酔の効果が安定化した後は、機械(PCAポンプ)を使ってお産が終わるまで麻酔薬の注入を続けます。PCAポンプで麻酔薬を注入している間は、麻酔科医がポンプの注入量を適宜調整します。またPCAポンプには薬剤注入ボタンがついており、産婦さんが自分で麻酔薬を追加注入することもできます。
「硬膜外分娩」の安全性について
どのような医療行為でも100%安全ということはありません。一般に硬膜外分娩の安全性は高いと考えられていますが、麻酔による合併症が起こる可能性はゼロではありません。昨今、問題となっている事故の多くは、麻酔科医がいない施設での硬膜外分娩です。当院の硬膜外分娩は、麻酔科医が責任をもって麻酔管理をさせていただきます。また硬膜外分娩を安全に行うため、産婦さんに守っていただくルール(例、食事や歩行の制限など)もございます。詳しくは無痛分娩外来を受診された際にご説明します。
「硬膜外分娩」が分娩経過に与える影響について
硬膜外分娩ではお産がゆっくり進行することが多いため、分娩時間が長くなることや、自然な陣痛で始めた硬膜外分娩でも途中から陣痛促進剤が必要になることがあります。また、赤ちゃんが出てくる最後にお手伝いをするため、吸引分娩や鉗子分娩が必要になる場合があります。吸引分娩や鉗子分娩の方法や危険性については産婦人科医よりご説明いたします。また、硬膜外分娩の途中から産婦さんが発熱する場合、採血などで熱の原因を調べることがあります。
「硬膜外分娩」が赤ちゃんに与える影響について
硬膜外分娩に使用する麻酔薬が、赤ちゃんに直接の悪影響をおよぼす可能性は、ほとんどありません。しかし、麻酔合併症や産科合併症がおこって産婦さんが危険な状態となれば、赤ちゃんにも危険がおよぶことがあります。 われわれは、赤ちゃんの安全を守るには、産婦さんの安全を確保することが大切と考えています。赤ちゃんの治療が必要な場合は、当院の小児科医が担当します。
当センターの「硬膜外分娩」は計画出産ですか?
当センターの硬膜外分娩は、計画出産(日を決めて陣痛を起こす出産)が原則ですが、可能な限り自然な陣痛発来にも対応しています。
計画出産では前もって麻酔の準備をしますので、タイミングよく硬膜外分娩を開始することが可能です。一方で計画出産では陣痛促進剤が必要になることや、本格的な陣痛が来るまでに数日かかることがあります。計画出産の具体的な方法や合併症は、産婦人科医よりご説明します。
もし、計画出産の前に自然な陣痛が始まった場合でも、これまでの当センターの実績では、多くの場合は硬膜外分娩が可能でした。しかし、状況によっては硬膜外分娩に対応できない場合のあることを御了承ください。
計画出産では前もって麻酔の準備をしますので、タイミングよく硬膜外分娩を開始することが可能です。一方で計画出産では陣痛促進剤が必要になることや、本格的な陣痛が来るまでに数日かかることがあります。計画出産の具体的な方法や合併症は、産婦人科医よりご説明します。
もし、計画出産の前に自然な陣痛が始まった場合でも、これまでの当センターの実績では、多くの場合は硬膜外分娩が可能でした。しかし、状況によっては硬膜外分娩に対応できない場合のあることを御了承ください。
「硬膜外分娩」の費用について
硬膜外分娩の費用については、分娩料金に加えて麻酔料金として一律145,000円をいただいております。この麻酔料金は、硬膜外麻酔の注射を開始した時点で発生します。麻酔時間の長さや麻酔の効果により麻酔料金は変わりませんが、入院費用は入院日数により変わります。無痛分娩外来での診療・検査等については、別途費用が必要となります。
「無痛分娩外来」の受診について
硬膜外分娩を希望される方は、産婦人科外来にて、硬膜外分娩を希望する旨をお伝えください。妊娠後期に硬膜外分娩に必要な検査を済ませたあと、無痛分娩外来(麻酔科外来)を受診していただきます。硬膜外分娩の詳しい説明をさせていただき、硬膜外分娩を安全に行うことが可能か診察をさせていただきます。麻酔科医の診察により、硬膜外分娩をできないと診断される場合があります。例えば、背骨が変形している方、血液が固まりにくい持病のある方、脳・神経にある種の持病のある方、麻酔薬に対しアレルギーのある方などは硬膜外分娩をお断りすることがあります。
無痛分娩外来は、当院産婦人科医からの紹介による完全予約制です。まずは当院産婦人科を受診してください。なお、硬膜外分娩の希望はいつでも取り下げることができますので、気軽に受診してください。
無痛分娩外来は、当院産婦人科医からの紹介による完全予約制です。まずは当院産婦人科を受診してください。なお、硬膜外分娩の希望はいつでも取り下げることができますので、気軽に受診してください。
情報公開について
硬膜外分娩の安全性に対する懸念が社会的に注目を集める中、この課題への対策を検討する目的で、平成29年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」が組織され、平成30年3月29日に「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」が発表されました。この提言を受けて協議を重ねた結果、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)が発足されました。
当センターでは、JALAの趣旨に賛同し、無痛分娩(硬膜外分娩)に関する分かりやすい情報公開に努めておりますのでご参考にしてください。
なお、JALAについては以下のサイトをご覧ください。
https://www.jalasite.org/
当センターでは、JALAの趣旨に賛同し、無痛分娩(硬膜外分娩)に関する分かりやすい情報公開に努めておりますのでご参考にしてください。
なお、JALAについては以下のサイトをご覧ください。
https://www.jalasite.org/
JALAで当院が公開している情報
「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」に基づく情報公開
① 当センターの硬膜外分娩に関する基本的な考え方
当センターの硬膜外分娩は計画分娩(出産する日を決めて陣痛を起こす)が原則ですが、自然な陣痛発来にも可能な限り対応します。計画分娩には、陣痛促進剤を使用します。また、自然な陣痛発来にあわせた硬膜外分娩であっても、途中から陣痛促進剤を使用することがあります。陣痛促進剤の使用はガイドラインに準拠した方法で行い、注意深く母児のモニタリングを行います。計画分娩の詳細は、産婦人科医がご説明します。
当センターでは、麻酔科医・産婦人科医・助産看護スタッフ・小児科医による「チーム医療」の硬膜外分娩を行っています。麻酔と分娩の専門家が力を合わせることにより安全で効果的な硬膜外分娩が可能になると共に、急変時の対応も容易になります。
当センターでは、「硬膜外分娩麻酔マニュアル」「硬膜外分娩産科マニュアル」「硬膜外分娩助産・看護マニュアル」を作成し、担当職員への周知徹底を図っています。
② インフォームド・コンセントの実施
当センターでは硬膜外分娩の麻酔と分娩について、具体的な方法および合併症に関する説明を含む説明書を整備しています。妊産婦さんに対しては、説明書を用いて麻酔科医が麻酔の説明・産婦人科医が分娩の説明を行い、妊産婦さんが署名した硬膜外分娩の麻酔と分娩の同意書を保存しています。
当センターの硬膜外分娩は計画分娩(出産する日を決めて陣痛を起こす)が原則ですが、自然な陣痛発来にも可能な限り対応します。計画分娩には、陣痛促進剤を使用します。また、自然な陣痛発来にあわせた硬膜外分娩であっても、途中から陣痛促進剤を使用することがあります。陣痛促進剤の使用はガイドラインに準拠した方法で行い、注意深く母児のモニタリングを行います。計画分娩の詳細は、産婦人科医がご説明します。
当センターでは、麻酔科医・産婦人科医・助産看護スタッフ・小児科医による「チーム医療」の硬膜外分娩を行っています。麻酔と分娩の専門家が力を合わせることにより安全で効果的な硬膜外分娩が可能になると共に、急変時の対応も容易になります。
当センターでは、「硬膜外分娩麻酔マニュアル」「硬膜外分娩産科マニュアル」「硬膜外分娩助産・看護マニュアル」を作成し、担当職員への周知徹底を図っています。
② インフォームド・コンセントの実施
当センターでは硬膜外分娩の麻酔と分娩について、具体的な方法および合併症に関する説明を含む説明書を整備しています。妊産婦さんに対しては、説明書を用いて麻酔科医が麻酔の説明・産婦人科医が分娩の説明を行い、妊産婦さんが署名した硬膜外分娩の麻酔と分娩の同意書を保存しています。
③ 硬膜外分娩に関する安全な人員と体制に関すること
・硬膜外分娩麻酔管理者
当センターでは、硬膜外分娩麻酔管理者を配置しています。
硬膜外分娩麻酔管理者:田中 基(日本麻酔科学会認定麻酔科専門医・指導医)
・硬膜外分娩麻酔担当医
当センターでは、硬膜外分娩の麻酔担当医を配置しています。当センターにおける硬膜外分娩の麻酔担当医は全員が麻酔科医です。なお、名古屋市立大学病院は教育施設なので、麻酔科医と共に研修中の医師が麻酔管理に加わる場合があります。
・当院の診療体制
当センターでは、麻酔科医・産婦人科医・助産看護スタッフ・小児科医のチーム医療による硬膜外分娩を行っています。名古屋市立大学病院では、麻酔科医・産婦人科医・助産看護スタッフ・小児科医が24時間365日、交代で勤務しています。
令和5年4月1日現在医師数
〇麻酔科:常勤医師 22名 非常勤医師 19名
〇産科婦人科:常勤医師 18名 非常勤医師 12名
④ インシデント・アクシデント発生時の具体的な対応
当センターでは硬膜外分娩を行う際、安全には十分気を付けていますが、万が一緊急事態が発生した場合に備えて必要な器材や薬剤を準備しています。緊急事態が発生した場合は、産科医・麻酔科医・助産看護スタッフに加えて、必要に応じて院内急変に対応する専門チームRRS(Rapid Response System)やコード・ブルーチームも治療に加わります。赤ちゃんの治療は小児科医が担当します。このような事例は、院内の検討会により原因の究明に努め、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)が実施する偶発事例報告事業および日本産婦人科医会が実施する妊産婦死亡報告事業に報告することになっています。
また普段から当センター内での危機対応シミュレーショントレーニングを適宜行い、ALSO やJ-CIMELSといった院外のシミュレーションコースも積極的に主催・参加しています。
・硬膜外分娩麻酔管理者
当センターでは、硬膜外分娩麻酔管理者を配置しています。
硬膜外分娩麻酔管理者:田中 基(日本麻酔科学会認定麻酔科専門医・指導医)
・硬膜外分娩麻酔担当医
当センターでは、硬膜外分娩の麻酔担当医を配置しています。当センターにおける硬膜外分娩の麻酔担当医は全員が麻酔科医です。なお、名古屋市立大学病院は教育施設なので、麻酔科医と共に研修中の医師が麻酔管理に加わる場合があります。
・当院の診療体制
当センターでは、麻酔科医・産婦人科医・助産看護スタッフ・小児科医のチーム医療による硬膜外分娩を行っています。名古屋市立大学病院では、麻酔科医・産婦人科医・助産看護スタッフ・小児科医が24時間365日、交代で勤務しています。
令和5年4月1日現在医師数
〇麻酔科:常勤医師 22名 非常勤医師 19名
〇産科婦人科:常勤医師 18名 非常勤医師 12名
④ インシデント・アクシデント発生時の具体的な対応
当センターでは硬膜外分娩を行う際、安全には十分気を付けていますが、万が一緊急事態が発生した場合に備えて必要な器材や薬剤を準備しています。緊急事態が発生した場合は、産科医・麻酔科医・助産看護スタッフに加えて、必要に応じて院内急変に対応する専門チームRRS(Rapid Response System)やコード・ブルーチームも治療に加わります。赤ちゃんの治療は小児科医が担当します。このような事例は、院内の検討会により原因の究明に努め、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)が実施する偶発事例報告事業および日本産婦人科医会が実施する妊産婦死亡報告事業に報告することになっています。
また普段から当センター内での危機対応シミュレーショントレーニングを適宜行い、ALSO やJ-CIMELSといった院外のシミュレーションコースも積極的に主催・参加しています。