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メラノーマセンター


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センター長挨拶

 いよいよ超高齢化社会に突入したことにより、皮膚がん患者さんが増えてきています。診断精度もあがり、皮膚がんを見つけることも増えてきました。皮膚がんの中でもメラノーマ(悪性黒色腫)は、最も予後不良な皮膚がんのひとつであり、2014年にオプジーボが他のがんよりも先に使用可能になってから、免疫療法や分子標的治療薬など、どんどん新たな治療法がでてきました。以前と比較しても、診断、手術、薬物療法、放射線治療などの組み合わせによって診療において、より専門性が増しています。また、より精度の高い診断、より効果的な治療が望まれています。
 また、メラノーマは、治療としての課題が多く、多数の臨床治験や臨床試験が行われています。メラノーマは全ての腫瘍の中で最も遺伝子変位量が大きいとされており、免疫に対する反応性が高いとされている。そのため、新たな薬物療法などのターゲットとして位置づけられており、将来の薬剤や治療方法の開発が重要となっています。
 メラノーマセンターを設置により、臨床面のみならず、研究面においても、推進をしていうことができると思います。

名古屋市立大学メラノーマセンターについて

名古屋市立大学メラノーマセンターは本邦におけるメラノーマの研究と治療の進歩、予防に取り組むために設立されました。我々の目標はメラノーマの早期診断、早期治療および新規治療の開発により、将来的なメラノーマによる死亡をゼロにすることです。

名古屋市立大学メラノーマセンターは、皮膚科医、腫瘍内科医、皮膚外科医、病理医、形成外科医、放射線科医、研究者、看護師などの多職種が一つ屋根の下で協力し、受診から最短期間での治療への到達し、メラノーマ患者さんへのサポート体制を構築し、多くの患者さんの治療を通じた本邦でのメラノーマ研究に寄与しています。

事前に必要な資料(名古屋市立大学メラノーマセンターへの受診方法を参照)を送付頂ければ初診時に具体的な治療日程まで決めていけるようなスムーズなメラノーマ診療をセンターのコンセプトにしています。

2010年度より現在まで、当院へ受診されたメラノーマ患者さんの数および2015年度からの皮膚悪性腫瘍切除術を行った患者さんの数は以下の通りです。


メラノーマセンターに携わる診療チーム

(令和6年1月1日現在)
氏名 役職
センター長 森田 明理 皮膚科 部長
副センター長 小松 弘和 臨床腫瘍部 部長
樋渡 昭雄 中央放射線部 部長
荻野 浩幸 西部医療センター 陽子線治療科 部長
村瀬 貴幸 病理診断部 副部長
中村 亮太 形成外科 助教
加藤 裕史 皮膚科 副部長


メラノーマとは?

メラノーマは、皮膚がんの中で最も生命予後に関わる疾患です。「メラノサイト」と呼ばれる皮膚の色(メラニン)を作る細胞から出現し、血液とリンパ系を介して肺、肝臓、脳などの遠隔臓器に転移する可能性があります。

メラノサイトは、紫外線(太陽光線)から皮膚を守るためにメラニンを生成します。このメラノサイトが小児期や思春期に皮膚に集まると、ほくろが形成されます。メラノーマは、異常なメラノサイトが制御不能な状態で増殖することで発生します。メラノーマは皮膚だけでなく、口腔内や眼の粘膜など、いろいろな場所に発症する可能性があります。

原因

欧米で発生するメラノーマはその多くが紫外線の過剰照射によるものとされていますが、日本人においては紫外線に関連しないタイプのものが約半数であり、特に手足や指先などに生じるタイプが多いとされています。

メラノーマの広がり方

早期のメラノーマは皮膚の表面で発生し、あたかも通常のほくろのように見えます。そのまま治療されずに進行すると皮膚の深い部分(真皮)に広がります。そこからリンパ系や血流に入り、肺、肝臓、脳、骨など体の他の部位に転移することがあります。このような広がりは転移と呼ばれます。

メラノーマの診断

メラノーマは多くが皮膚にあるほくろもしくはシミのような病変から始まります。もし、皮膚に新しい形のおかしなほくろを見つけたり、古いほくろの形が変化し始めたりしたら、すぐに医師の診断を受けるようにしてください。

ほくろやシミを主訴に当院を受診された場合、まずは皮膚腫瘍を専門とする皮膚科医による視診とダーモスコピー検査が行われます。ダーモスコピーは写真にあるような拡大鏡で、光の反射を利用して病変を診察する器具で、この診察時には痛みなどはありません。

その後、疑わしい病変に対しては組織検査が行われます。
*ただし、病変のタイプによっては全摘生検(全体を切除して検査を行う方法)や、明らかにメラノーマと診断がつくタイプについては生検を行わずに手術等の治療に移ることもあります。

組織検査で数ミリの組織を採取したら、それを病理検査(顕微鏡で診断をつける検査)に提出し、7-10日程度で診断がつきます。

メラノーマの確定診断がついたら、転移があるかないかを調べるために画像検査を行います。画像検査の種類は患者さんの状態と腫瘍の進行によって異なりますがCT検査、MRI検査、PET-CT検査、腫瘍マーカー検査(血液)、高周波エコーなどがあります。

メラノーマの治療

メラノーマの治療は患者さんの年齢や健康状態、腫瘍の進行度などにより複雑に変化します。名古屋市立大学メラノーマセンターでは、複数の医師による意見を基に、個々の患者さんに最適な治療法を提案します。

メラノーマは、O、I、II、III、IVのいずれかの病期で分類されます(更に細かく分類するとサブステージ(a-d)があります)。黒色腫の各ステージと関連する治療経路の概要を示しています。

悪性黒色腫の病期と考えられる治療法

ステージ0 この段階では、腫瘍は皮膚の表面(表皮)の細胞内にとどまっており、深いところ(真皮)には浸潤していません。そのため、5mm程度のマージンをつけて切除する方法が主な治療法です。
ステージI ステージIの黒色腫は、潰瘍(表面のきず)を伴わない厚さ2mmまでのもの、または潰瘍を伴う厚さ1mmまでのものがあります。外科的切除が主な治療法です。リンパ節へのメラノーマの転移を調べるために、センチネルリンパ節生検が検討される場合があります。
ステージII ステージIIの黒色腫は、厚さと潰瘍化によって定義されます。潰瘍の有無にかかわらず2mm以上の厚さの腫瘍と、潰瘍のある1~2mmの腫瘍があります。 外科的切除が主な治療法で、メラノーマのリンパ節への転移を調べるためにセンチネルリンパ節生検が考慮されることもあります。
ステージIII ステージIIIの黒色腫は、どのような厚さのものでもよく、近くのリンパ節や組織に広がっていることがあります。外科的切除が主な治療法です。リンパ節郭清(関係部位内のすべてのリンパ節を切除すること)、薬物療法、放射線療法が検討されることもあります。
IV期 IV期のメラノーマは、厚さは問わず、遠隔リンパ節や遠隔部位(肺、肝臓、脳、骨など)への広がり(転移)を認めます。手術または免疫療法や分子標的療法を含む全身(薬物)療法が推奨される場合があります。また、放射線療法が行われることもあります。
ステージ0、I、II(早期)のメラノーマに対する最も一般的な治療法は、手術です。早期に発見された場合、メラノーマの90%は単純な手術だけで治癒することができます。

ステージIIIまたはIV(進行期)のメラノーマと診断された場合、手術、薬物療法、放射線など、さまざまな治療法を組み合わせて受けることが推奨されます。

メラノーマの手術

メラノーマの手術は原発(皮膚の病変)に対するものと転移病変に対するものに分かれます。

・原発に対する手術
腫瘍の厚みにもよりますが、5mm~2cmの安全マージン(正常組織も含めた切除)をとって腫瘍を切除します。切除後は単純に縫合ができれば線状の縫合創となりますが、単純に縫合ができない場合などは皮弁術、植皮術などによる再建が必要になります。一般的には植皮術が選択されますが、整容的に問題が大きな顔面などでは皮弁術による再建も選択される場合があります。

・センチネルリンパ節生検
「センチネル」とは、「見張り」という意味で、センチネルリンパ節とは、腫瘍から最初にたどり着くリンパ節のことを言います。一般に転移を起こす際には原発からリンパ管を通って最初のリンパ節にたどり着き、そこから新たなリンパ管を通って次のリンパ節に移るといった経路で転移が進行します。このとき最初にたどり着くリンパ節を採取して、転移があるかないかを確かめることで、転移が無ければ他のリンパ節も大丈夫、万が一転移があった場合には他のリンパ節にも転移が起きている可能性があるため、追加治療を検討するという判断材料になります。

センチネルリンパ節生検を行う場合、通常は手術の前日にセンチネルリンフォシンチグラフィを行います。これは、微量な放射線を生じる注射を局所(腫瘍の周辺)に注射し、その後放射線の流れを観察することでどのリンパ節に最初にたどり着くかを確かめる方法です。一般に下肢や腹部付近などではそけい部に、腕や胸付近では腋窩部に、顔面や頭部では下顎や頚部などにセンチネルリンパ節を見つけることができます。

更に手術当日は緑色の色素を腫瘍辺縁に注射し、センチネルリンパ節に色をつけると共に、蛍光法(特殊な光を当てるとリンパ節が光る)も併用してリンパ節を同定します。

メラノーマに対する放射線治療

放射線療法は、X線や電子線を用いてがん細胞のDNAを損傷させ、がん細胞を死滅させる方法です。正常な細胞はDNAの損傷を修復することができますが、がん細胞はその能力が低いため、放射線療法の影響を受けると死滅します。ただし、メラノーマの細胞は放射線に対する耐性が他のがんと比較して高く、通常の病変に対しては用いられることは少ないとされています。

・転移病変に対する照射
脳転移や骨転移に対して行われます。特に脳転移については腫瘍からの出血などを合併した場合命に関わることもあり、早期に放射線治療を行うことが必要です。

・免疫チェックポイント阻害薬との併用療法
一部の腫瘍もしくは複数の腫瘍に放射線照射を行い、腫瘍を一部分解することで腫瘍抗原(腫瘍の一部)を体に認識させ、免疫チェックポイント阻害薬の効き目を強くするという治療です。薬物療法の効果が不十分な方などに対して行われることがあります。

・陽子線治療、重粒子線治療
陽子線治療は、水素の原子核(陽子)を加速して作る「陽子線」を用いた治療です。陽子線治療は治療効果が高く、体への負担や副作用が軽いことから従来の放射線で治療できなかった複数の疾患に対して効果的に治療が可能です。陽子線治療についての詳細はこちらの名古屋市立大学附属西部医療センター 陽子線治療センターHPをご覧ください。

薬物療法

薬物療法には進行期(転移を来してしまった状態)とアジュバント(手術後)の2つの使用方法があり、病期やその他の健康状態によって最適な治療法が決定されます。

現在、メラノーマの治療には、主に分子標的治療薬と免疫療法の2種類の薬物療法が用いられています。

・分子標的治療薬
分子標的治療薬は、メラノーマが増殖・転移する原因となるメラノーマ細胞内の特定の遺伝子変異(BRAF遺伝子変異)を阻害することで、がんの増殖を抑制する薬剤です。これは、急速に分裂する細胞を単に殺すことを目的とした化学療法のような非特異的治療とは異なります。日本人のメラノーマの約20%にこの遺伝子変異があるとされています。

・代表的な薬剤
タフィンラー®・メキニスト®
ビラフトビ®・メクトビ®
ゼルボラフ®

・免疫チェックポイント阻害薬
免疫チェックポイント阻害薬は、体内の免疫系を活性化させ、メラノーマ細胞を探し出して闘わせる方法です。免疫チェックポイント阻害薬は、遺伝子変異検査の結果にかかわらず、使用が可能です。

・代表的な薬剤
オプジーボ®
キイトルーダ®
ヤーボイ®

がんゲノム検査

「がんゲノム医療」とは、患者さん毎にがんの原因を明らかにし、より適した治療薬を選択する次世代のがん治療です。100以上のがんに関連する遺伝子を1回の検査で網羅的に解析し、遺伝子異常に関連する分子標的治療を探すための検査であり、標準治療で効果不十分な方に行うことができます。がんゲノム医療については名古屋市立大学がんゲノム外来をご参照ください。


名古屋市立大学メラノーマセンターへの受診方法

患者様へ

名古屋市立大学メラノーマセンターでは直接受診(紹介状なしの受診)は承っておりません。必ずかかりつけの医師に相談の上、下記へお申し込みいただくようお願いいたします。

かかりつけ医の皆様へ

メラノーマセンターへの受診は、事前予約制となっております。

<受診予約の流れについて>

①当院の「診療予約申込票」(当院地域連携室のホームページよりダウンロードできます)に必要事項を記入の上、診療情報提供書を添えて、FAXで地域医療連携室へお申し込みください。
メラノーマセンターへのお申し込みにつきましては、
・受診希望診療科:「36皮膚科」へ○印をつけてください
・専門領域の指定:「1.あり」へ○印をつけ、()内へ「メラノーマセンター」とご記入ください
【FAX】052-858-7130  名古屋市立大学病院地域医療連携室
②受診に際して、お申し込み資料を皮膚腫瘍担当医が確認させていただき、複数診療科での検討が必要な場合はメラノーマセンター外来で、疑い例で診断がメインの症例などについてはまず皮膚科腫瘍専門医の外来で対応させていただくように割り振りをさせていただきます。
③メラノーマセンターへの受診日までに、以下の資料をご準備いただき、事前に(可能であれば、受診日の10日前までに当院へ到着)下記担当者までご送付ください。

【必要な資料】
 ① 診療情報提供書
 ②病理標本
 ③病理ブロックもしくは未染標本10枚
 (がんゲノム検査、がん遺伝子検査等を行っておりレポートがあれば不要です)
 ④画像データ
 ⑤画像読影レポート
 ⑥病理レポート
 ⑦臨床写真
 ⑧その他血液などの検査結果

【郵送先】
〒467-8601 
愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1
名古屋市立大学大学院医学研究科 加齢・環境皮膚科
加藤裕史 宛

臨床試験について

当センターでは現在以下の臨床試験を行っております。
臨床試験の適応やご質問などにつきましては名古屋市立大学病院臨床研究開発支援センターまでお問い合わせください。

現在当院で行っているメラノーマに関わる臨床試験は以下の通りです。
・根治切除不能悪性黒色腫(メラノーマ)治療におけるニボルマブとのTM5614併用の安全性・有効性を検討する第II相試験
・センチネルリンパ節陽性メラノーマの治療選択と予後に関する多機関共同観察研究
・BRAF陽性悪性黒色腫に対するBRAF・MEK阻害薬および免疫チェックポイント阻害薬の臨床効果に関する多機関共同後ろ向き観察研究
・進行期悪性黒色腫疾患に対する術後補助療法後に関する観察研究
・露光部(非粘膜型/非末端黒子型)メラノーマにおけるニボルマブ+イピリムマブ併用療法の一次治療と抗PD-1抗体単剤療法の一次治療(無効後ニボルマブ+イピリムマブを含む)の効果に関する多施設共同後ろ向き研究

セカンドオピニオン

当センターでは積極的にセカンドオピニオンの受け入れも行っております。
詳細は名古屋市立大学病院セカンドオピニオン外来をご確認ください。

<セカンドオピニオン受診の流れについて>

①受診を希望される方は次の書類に必要事項を記入して、検査結果などの資料とともに当院医事課(セカンドオピニオン担当)あて郵送、もしくは直接持参してください。
(注意)電子メール、Faxによる申込受付は行っておりませんのでご注意ください。
申込書
診療情報提供書(現在治療中の医師に記入をしてもらってください)
※現在治療中の医療機関の様式でもかまいません。
同意書(患者さん本人以外の方が受診される場合のみ)
②当院において申込書の内容を確認し、受診日時を決定いたします。
③決定した受診日時は、申込書に記載された連絡先に電話にて連絡するとともに、予約票を郵送にて送付いたします。
④受診される方は必要な資料をお持ちになり予約票に記載された受付にて受診手続きを行ってください。(各資料は、出来るだけ受診前に下記のお問い合わせ先までご郵送、もしくはご持参ください)。手続きが終了しましたら案内された診察室にて診療を受けてください。

【必要な資料】
 ①診療情報提供書
 ②病理標本
 ③病理ブロックもしくは未染標本10枚
 (がんゲノム検査、がん遺伝子検査等を行っておりレポートがあれば不要です)
 ④画像データ
 ⑤画像読影レポート
 ⑥病理レポート
 ⑦臨床写真
 ⑧その他血液などの検査結果

【郵送先】
〒467-8602 
愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1
名古屋市立大学病院 病院管理部医事課(セカンドオピニオン担当)