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診療科・部門

多発性骨髄腫


1 疾患について

 多発性骨髄腫は、形質細胞と呼ばれる免疫グロブリンを産生する血液細胞が腫瘍化することによって起きる病気です。産生する免疫グロブリン(M蛋白)の種類によってIgG型、IgA型、ベンスジョーンズ型、非分泌型等に分類されます。また、臨床的観点からは、疾患に起因する臓器症状(高カルシウム血症、腎不全、貧血、骨病変)の有無によって症候性と無症候性に分類されます。病変部位の主体は骨髄ですが、骨や軟部組織における腫瘤形成を主体とする場合を形質細胞腫と呼びます。

2 症状

 症候性骨髄腫の症状の中では、骨病変に伴う腰背部痛や病的骨折が最も代表的で、他には高カルシウム血症に伴う意識障害や嘔気、腎不全に伴う浮腫、貧血に伴う全身倦怠感や労作時息切れが挙げられます。免疫不全に伴う感染症状 (発熱、口内炎等)や血小板減少に伴う出血傾向 (皮下出血、歯肉出血等) が出現することもあります。無症候性骨髄腫や形質細胞腫の場合は自覚症状が乏しく、血液検査や画像検査で偶然に異常が見つかることもあります。診断を確定するためには骨髄や骨・軟部組織の検体を採取し、形質細胞の腫瘍性増殖を証明することが必要となります。

3 治療法

 多発性骨髄腫は根治が難しい一方、経過が慢性的であるという性質をもっていることから、疾患との共存が第一目標となります。早期発見・早期治療の原則は必ずしも当てはまらず、無症候性の場合は無治療経過観察とするのが一般的です。症候性骨髄腫の治療の中心は化学療法です。骨病変に伴う局所症状を制御する必要がある場合や孤立性形質細胞腫に対しては放射線照射を行うこともあります。疾患の状況や患者さんの状況 (年齢、臓器機能、併存疾患等) によって選択すべき治療は異なります。当院では科学的根拠に基づく最善の治療 (標準治療) を提供することを重視します。その上で個々の患者さんの病状、ご希望、どのような治療目標を設定するかといった要素を踏まえて最適な医療を提供できるよう努めています。