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診療科・部門

泌尿器科


診療科のご案内

泌尿器科の目標は「受診される皆様の身体的・社会的な負担を減少し、皆様の望まれる医療を提供させていただくこと」
です。

ページ内目次


特長

  1. 泌尿器科がんに対して、手術支援ロボットを用いた低侵襲手術を積極的に行なっています。

  2. 遠隔転移を伴う泌尿器科がんに対し、最新の免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬、抗がん剤、ホルモン治療薬、放射線治療の集学的治療を提供しています。

  3. 小児泌尿器科認定医による先天性疾患の手術や尿失禁の治療を行なっています。

  4. 前立腺肥大症手術、新しい低侵襲前立腺肥大症手術、難治性過活動膀胱・神経因性膀胱手術、間質性膀胱炎手術、人工尿道括約筋埋込み手術、膀胱機能検査を行なっています。

  5. 尿路結石に対してレーザー内視鏡手術、体外衝撃波手術を行なっています。

1. 手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いた低侵襲手術

ダヴィンチは、アメリカのインテュイティブサージカル社が開発した手術用ロボットです。現在日本では400台を超えるダヴィンチが稼働 (2023年5月現在)しており、保険適応となる疾患が増えています。当院では、前立腺がん、腎がん、腎盂・尿管がんに対するロボット支援手術を行っています。医師がロボットの先端についている鉗子やカメラを操作して手術を行いますが、ロボットの支援によって正確かつ緻密な手術操作が可能となるため、以下のようなメリットがあります。

・傷口が小さい
・術後の痛みが少なく、回復も早い
・術中の出血が少なく、輸血を必要とする可能性が低い
・周辺臓器の機能が温存できる

ダヴィンチは、患者さんへの負担と合併症のリスクを減少し、低侵襲な(術後の回復が早い)手術を可能にします。また、がんの手術に求められる、根治性とQOL(生活の質)の維持に役立ちます

ダヴィンチ手術

2.遠隔転移を伴う泌尿器科がんに対する集学的治療

遠隔転移を伴う、あるいは手術後に再発・転移した前立腺がん、腎がん、尿路上皮がん(膀胱がん、腎盂がん、尿管がん)に対して、薬物療法と放射線療法を組み合わせた集学的治療を行っています。

転移性前立腺がんの治療は、ホルモン療法のみであった15年前から大きく変貌しました。新たなホルモン治療薬(新規アンドロゲン受容体標的薬)が複数開発され、治療の幅が広がっています。さらに、抗がん剤と新規ホルモン治療剤の併用、遺伝子診断による個別治療が治療選択肢に加わり、当院ではエビデンスに基づいた治療を提供しています。骨転移による痛みなど対しては、積極的に放射線治療を併用して、患者さまのQOL(生活の質)の向上に努めます。

腎がんや尿路上皮がんの治療は、分子標的薬、抗がん剤治療のみであった時代から変貌し、複数の免疫チェックポイント阻害剤が開発され、治療選択肢が格段に広がりました。免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞を直接攻撃する従来の抗がん剤とは異なり、がんを攻撃する免疫細胞を活発にし、間接的に免疫細胞によってがん細胞を排除する薬です。長期の入院が不要となり、多くの患者さまが外来で治療を行っています。

3.小児泌尿器科疾患と治療

子どもの「おねしょ」や「おもらし」などの排尿障害は年齢とともに改善することが多いですが、長引く場合には排尿・排便習慣を専門家と一緒に見直すことが大切です。特に当科には、夜尿症や排尿機能を専門とする小児泌尿器科認定医師が在籍しており、専門的な治療を受けることが可能です。当院では「停留精巣」「陰嚢水腫」「病的包茎」などの手術や「尿失禁」「二分脊椎」などに対してビデオ下膀胱機能検査を行なっています。尿道下裂、悪性腫瘍など専門的な治療が必要な疾患は、名古屋市立大学病院 小児泌尿器科と連携して、手術を行っています。

小児泌尿器科 医師

「膀胱尿管逆流」は先天的な病気で、思春期以降の女性(いわゆるAYA世代)でも腎盂腎炎を引き起こすことがあります。当科では低侵襲な内視鏡的注入療法を行なっています。成人であれば腰椎麻酔での手術が可能で、2泊3日程度の入院期間となっています。

腎盂腎炎

小児泌尿器科

4.排尿障害(下部尿路症状) 

・前立腺肥大症

男性特有の疾患で、排尿困難、頻尿、尿閉(おしっこが出なくなる)を生じます。まずは薬物療法が用いられますが、薬物療法で症状が十分に改善されない場合、内視鏡で前立腺を切除する手術を行います。

手術の方法 特長
経尿道的ホルミウムレーザー前立腺核出術 中等度から大きな前立腺肥大に行います。
出血が少ないこと、術後早期から尿勢が改善することが最も大きな利点です。
経尿道的水蒸気治療 2022年より保険適用された新しい方法です。
Rezum(レジューム)システムを利用して、103℃の水蒸気を前立腺内に噴霧し、組織を壊死させます。手術時間は10分以内、異物を残さずに治療できることが利点です。
1泊2日あるいは2泊3日の入院期間です。おおよそ術後2週間~1か月後に、排尿状態の改善が期待できます。
経尿道的前立腺吊り上げ術 2022年より保険適用された新しい方法です。
Urolift(ウロリフト)システムを用いて、前立腺内にインプラントを埋め込み、尿の通り道を開通させます。
手術時間は30分以内、手術翌日に尿道カテ―テルを抜去できることが利点です。
1泊2日あるいは2泊3日の入院期間です。
・過活動膀胱・神経因性膀胱手術

尿意切迫感(急におしっこがしたくなり我慢できない、漏れてしまう)を主症状とし、患者さんは国内で1000万人超と推定されています。

手術の方法 特長
ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法 2020年に難治性過活動膀胱、神経因性膀胱に対して保険適用されました。効果は治療後数日で現れ、4~8か月程度にわたって持続します。
(個人差があります)
入院期間は1泊2日あるいは2泊3日です。
・間質性膀胱炎

膀胱の痛み、尿意切迫感、頻尿(昼夜を問わず尿の回数が多い)を主症状とする疾患です。完全に治癒することが難しく、症状の緩和・消失を目指すため、内視鏡手術・膀胱内への薬物注入療法を行っています。
手術の方法 特長
膀胱水圧拡張術/
ハンナ型間質性膀胱炎手術
全身麻酔あるいは腰椎麻酔で行います。膀胱に滅菌水を注入して膀胱を拡張します。ハンナ病変がある場合は、病変を電気メスで切除します。手術時間は30分程度で、入院期間は1泊2日あるいは2泊3日です。
ジメチルスルホキシド(DMSO)
膀胱内注入療法
DMSOは炎症抑制、鎮痛などの作用があります。古くから使用されている薬剤ですが、2021年から保険適応となりました。尿道から細いカテーテルを挿入し、麻酔薬→DMSOの順に膀胱内注入して、トイレで排尿してもらいます。外来で実施可能で、2週間に1回、計6回の投与を行います。
・男性尿失禁(前立腺がん手術後、前立腺肥大手術後)

【人工尿道括約筋埋込み術】

前立腺がん(ロボット、腹腔鏡、開腹手術)、前立腺肥大症の手術によって、術後に尿失禁が生じる場合に適応になります。米国で開発され40年以上の歴史があり、日本では2012年より保険適応となりました。前立腺全摘除術をうけた患者さんの2-3%に、生活の質に悪影響を及ぼす尿失禁(パットを一日に何枚も替えなければならない、オムツが蒸れて陰嚢の皮膚が荒れるなど)が発生すると言われています。日本でも前立腺がん患者数が増加しており、多数の医療機関で前立腺全摘除術が行われていますが、男性尿失禁治療に習熟している医療機関は少ないのが現状です。私たちの施設では、人工尿道括約筋埋込み術を行っており、患者さんの生活の質を大きく改善し、満足度・経済的な恩恵(オムツやパッド代は月1万円程度)が得られます。入院期間は5-7日間程度です。

男性尿失禁(前立腺がん手術後、前立腺肥大手術後)

5.尿路結石症の治療

尿路結石とは、尿路(腎臓・尿管・膀胱・尿道)に存在する結石のことです。背中やわき腹の痛みや、血尿が出ることもありますが、症状がなくても、気付かないうちに腎臓に負担をかけて腎不全に至ることもあるため、注意が必要な病気です。一般的に、5㎜以下の小さな結石は尿と一緒に自然排石される可能性が高いため、外来で経過を見ることが多いです。自然排石が困難と考えられる場合、体外衝撃波による砕石術(ESWL)や経尿道的砕石術(TUL)、経皮・経尿道的砕石術(ECIRS)などの手術を行います。手術方法は、結石の位置や大きさによって変わります。

・ 体外衝撃波尿路結石破砕術(ESWL)

体の表面から衝撃波を当て結石を破砕し、排石しやすい状態にします。当院では1泊2日の入院で行っています。身体的な負担は少ない治療法ですが、大きな結石や硬い結石の場合には一度で破砕しきれないこともあります。

体外衝撃波尿路結石破砕術(ESWL)

・ 経尿道的尿路結石破砕術(TUL)

尿道から内視鏡を挿入し、レーザーによって結石を破砕します。破砕した結石は手術中に回収します。当院では1泊2日あるいは2泊3日の入院で行っています。治療効果の高い手術として近年増加しています。

・ 経皮・経尿道的尿路結石砕石術(ECIRS)

腰部に小さな穴を開け、そこから腎臓に直接内視鏡を入れ、結石を破砕します。TULと比べると、大きな結石に対しても治療効果が高い手術法ですが、腎臓に穴を開けるために出血のリスクが高くなります。入院期間は5日程度です。当院では、PNL(経皮的腎尿管砕石術)とTUL(経尿道的尿路結石破砕術)を同時に行う手術(ECIRS)を行っており、合併症のリスクが低い、効率的な治療が可能となりました

経皮・経尿道的尿路結石砕石術(ECIRS)

韓国からの視察団が泌尿器科手術の研修に参りました。くわしくはこちらをご覧ください。

診療実績・研究業績

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