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診療科・部門

解離性大動脈瘤


1 疾患について

 解離性大動脈瘤は、大動脈の内膜に亀裂が入り、血液が壁の層間に入り込むことで、内膜と中膜が剥がれてしまう病態です。これにより、大動脈の正常な血流が阻害され、臓器への血液供給が不十分になることがあります。解離が急速に進行すると、心臓や脳、腎臓などの重要な臓器に深刻な影響を及ぼす可能性があり、命に関わる緊急性の高い疾患です。
 原因には高血圧や動脈硬化、先天性結合組織疾患(例:マルファン症候群)などが関与することが多く、突然発症するため迅速な診断と治療が求められます。

2 症状

 解離性大動脈瘤の主な症状は以下の通りです:
・突然の激しい胸痛や背部痛
 「裂けるような痛み」と表現され、胸から背中、腰まで放散することがあります。
・失神や意識低下
 血流不足による脳への影響で発生することがあります。
・片側の麻痺や視力障害
 脳血流の障害により脳梗塞のような症状が現れることもあります。
・呼吸困難や息切れ
 心臓や肺の血流が影響を受けることで発生します。
・血圧の左右差
 血管の解離により、左右の腕で血圧に大きな差が生じることがあります。

解離の進行具合により、これらの症状が急速に悪化するため、早急な対応が必要です。

3 治療法

 当院では、解離性大動脈瘤の早期診断と治療を実現するため、24時間体制で専門医が対応します。治療方法は、解離の部位や重症度に応じて決定され、主に以下のような治療を提供します。

1. 緊急手術
 Stanford A型(上行大動脈の解離)の場合、手術が必須です。胸を開き、人工血管による置換術を行い、解離した部分を
 修復します。
2. 内科的治療(保存療法)
 Stanford B型(下行大動脈の解離)の場合、手術を行わずに薬物治療で血圧を管理し、解離の進行を防ぎます。降圧薬や
 ベータ遮断薬を用いて血管への負荷を減らします。
3. ステントグラフト内挿術(TEVAR)
 内科的治療で効果が見込めない場合や、下行大動脈の一部に狭窄や破裂のリスクがある場合には、カテーテルを使った
 ステントグラフトの挿入を行います。
4. 循環器疾患集中治療室(CCU)でのモニタリング
 治療後はCCUで、血圧や心機能の管理を行い、再発のリスクを監視します。
5. 長期管理と再発予防
 退院後は、再発予防のために血圧管理や定期的な画像検査を行います。また、生活習慣の改善指導や内服薬の管理を
 徹底します。
当院では、解離性大動脈瘤に対する高度な治療を提供し、患者様が一日も早く安心して日常生活に復帰できるよう全力を尽くします。激しい胸痛や背部痛、失神などの症状がある場合は、ただちに救急外来へお越しください。
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