感染症科
診療科のご案内
現在二類感染症を受け持つ第二種感染症指定医療機関、エイズ拠点病院および熱帯病治療薬研究班の薬剤使用機関となっており、一般の病院では対応が困難な輸入感染症や寄生虫症の診療も行っています。
届出
届出感染症には以下の基準で届出が必要です。
名古屋市感染症情報センター(外部リンク)
国立感染症研究所 感染症情報センター(外部リンク)
- 全数届出感染症(1~5類感染症)
- 定点届出感染症(インフルエンザ・小児科定点、眼科定点、STD(性行為感染症)定点)
名古屋市感染症情報センター(外部リンク)
国立感染症研究所 感染症情報センター(外部リンク)
特長
当院の歴史は明治23年愛知県より伝染病隔離病舎を引き継いだことからはじまり、以来長年名古屋地区の隔離病棟を管理しています。10症の陰圧個室病床を有し、2009年の新型インフルエンザ(H1N1)、2020年のCOVID-19に対して名古屋市の初動病院として多くの患者さんの治療にあたりました。また今後発生が予想される他の強毒素型感染症に対してもこの病床を利用しながら診療にあたることとなっています。
主な疾患・治療法
- 2020年初頭から世界中に感染が広がったCOVID-19に対して、これまでの感染症の診療では考えられないスピードで診断法、治療法、ワクチンなどが開発されています。新薬の治験を始めその時々に提供可能な適切な治療法を提示して診療にあたっています。
- 渡航様式の多様化にともない輸入感染症が増えています。我が国では近年60名程度のマラリア患者が発症しており、当院では年間3~4例の治療を行っています。マラリアの中でも熱帯熱マラリアは治療が遅れると重症化することが多く、流行地域から帰国後に発熱した際には鑑別診断にあげる必要があります。
- 最近東南アジアから帰国後のマラリアは減少していますが、一方でデング熱が増加しています。デング熱はウイルス疾患で治療薬はなく対症療法となりますが、高度の貧血や血小板低下などの重症例も報告されています。
- 腸チフスは病名のイメージとは異なり発熱性疾患です。重篤化することがあり、早期診断が重要です。潜伏期間は1~3週間、症状として高熱、バラ疹、脾腫、比較的徐脈、白血球減少がみられ、肝障害も見らます(下痢の症状少ない)。腸出血、腸穿孔などを合併することがあります。診断確定に長期間を要する症例もあり、血液・便培養検査等で診断します。ニューキノロン薬が第一選択薬となりますが、近年ニューキノロン薬抵抗性株も急増しており注意が必要です。
- アメーバ赤痢は原虫疾患で、海外渡航者は減少し、男性同性愛者などのSTD(性行為感染症)の要因が増加しています。症状は粘血便、腹痛、テネスムスを認めますが、発症時期が不明な症状の乏しい症例もあります。潰瘍の好発部位は回盲部や直腸であるが結腸全域にでき、潰瘍性大腸炎との鑑別を要する例もあります。高熱をともなえば肝膿瘍の合併を考えます。治療はメトロニダゾールの内服です。
- アメーバ赤痢やジアルジア症は、顕微鏡を用いて便中の原虫を同定することで、診断することができます。アメーバは体を変形させながら移動し、ジアルジア症の原因となるランブル鞭毛虫は鞭毛を用いて移動します。下に画像を掲示しました。クリックすると動画をご覧頂けます。(アメーバ;E.histolytica, ランブル鞭毛虫;Giardia lamblia)
- SARSは現在まで日本での感染例は存在しません。WHOなどで指定された感染地域から帰国され、症状から疑われる場合は、まず当該の保健所や当院に電話でご相談ください。
- 近年高齢者の結核患者さんが増加しています。当院では結核の疑いのある患者さんは陰圧個室病床に入院していただきますが、結核病床がないため診断がついた時点で結核病床をもつ東名古屋病院、大同病院、陶生病院へご紹介させていただいています.
- 当院はエイズ拠点病院としてHIV陽性者の手術や出産・歯科・精神疾患に対する治療をおこなっていますが、HIV自体の経過観察や治療に関してはブロック拠点病院である名古屋医療センターに依頼しています。
アメーバ
ランブル鞭毛虫