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腎臓内科




診療科からのメッセージ

最近、本邦成人8人に1人が慢性腎臓病 (CKD) の状況にあることが分かってきました。慢性腎臓病は進行すると命を脅かします。しかし適切な治療によって進行を遅らせることができ、むしろ改善できることも明らかになっています。腎臓病が「まれ」「命に係わらない」「治らない」と今まで信じられてきたのは誤りです。
慢性腎臓病の病期は5つのステージに分類されます。腎機能が正常で血尿や蛋白尿がある段階から腎不全に至るまでステージが1段階進むごとに透析を要する可能性が増えますが、それ以上に心筋梗塞や脳卒中で命を失う可能性が高まります。逆に1つでも前の段階に戻れば透析導入が遠のくだけでなく命の危険が減少します。このため血尿・蛋白尿を指摘されている腎炎の方には腎生検(腎臓の組織を少しだけ採取して顕微鏡診断) 等の結果に基づきよりよい治療方針を立てて完治を目指し,すでに腎機能が低下してしまった方には腎機能の指標である血清クレアチニン値が少しでも改善するようにあらゆる手を尽くします。血液透析が必要な方には、動脈と静脈をつなぐシャント手術をよりよいタイミングで行います。しかし慢性腎臓病の方が透析に至らないようにする努力を決して諦めません。
診療を受けて下さる方やご家族とわが身を置き換え、心情を慮って「腎臓病のいかなるステージにおいても全力で患者さんのしあわせを追及する」ことを目指します。腎臓内科一同はいつもこの気持ちを胸に抱いて診療に従事しています。

診療科の特色

蛋白尿/血尿の精査から腎不全進行抑制対策・腎代替療法(血液透析や腹膜透析)、腎移植への紹介までにトータルとしての腎臓病診療と取り組み、特に、腎臓病の進行を阻止するのみならず機能回復を目指す腎不全寛解クリニックに力を注いでいるのが当腎臓内科の最大の特徴です。

腎炎・腎不全教室という教育入院を、コメディカルや地域医療連携室と共同で実施しています。また「患者さんと御家族のための腎臓病セミナー(市民公開講座)」を年2回開催しています。他院実地医療の先生から当院の受診がなくとも予約いただける「腎臓病集団栄養指導」も設けています(上咽頭治療を受けて頂くためには「特定臨床研究」にご協力頂く必要があります)。扁桃摘出とステロイド・パルス療法、さらには塩化亜鉛による上咽頭炎治療も組み合わせる慢性腎炎の根治療法も積極的に推進しています。当院のステロイド・パルス療法は Pozzi式でなくHotta(仙台)式です。平成27年からは近隣の先生方との連携強化を相談する「医療連携セミナー・桜山~夏の腎/冬の腎」を開催しています。

糖尿病性腎症や難治性ネフローゼ症候群、急速進行性糸球体腎炎の治療のみならず、高血圧や電解質異常の診断・治療、合併症を有する急性および慢性腎不全患者の治療、膠原病に伴う腎障害、妊娠高血圧(いわゆる妊娠中毒症)、腹膜透析、血液透析のシャント治療 (PTA)、エコーを用いた腎動脈の評価 (腎血管性高血圧)においても高い水準の医療を提供できると自負致しております。

診療・治療に対する心がけ

患者さんに信頼される安心・安全の医療を高い学問的レベルに基づいて実践することを常に心掛けています。

まず、詳細な尿検査の分析・腎機能検査の評価・血清学的免疫異常や腎の超音波ならびにCTやMRIによる形態学的検査などの非侵襲的アプローチを優先し、腎生検の適応を慎重に判断しています。毎週,症例カンファレンスで全症例を検討し問題症例の治療方針は部長回診も行って討議しています。エビデンスに基づくのみならず,患者さんおひとりずつの病状を考慮した治療方針を決定しています。透析導入の適応についても院内の倫理指針を遵守し,原則的には診療科全体の同意を得て決定しています。

主な疾患

腎不全

慢性腎臓病 (CKD) 年の単位で徐々に腎機能が低下し、最終的には血液透析やCAPD (携帯型持続腹膜透析) などの腎代替療法を必要とする病気の総称で、糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎が最大の原因です。
急性腎障害 (AKI) 日の単位で腎臓への血流が著しく減少したり(腎前性)、腎臓自体の組織破壊(腎性)や尿路系の通過障害(腎後性)のために尿が作れなくなり、急速に腎機能が低下する疾患の総称で、心疾患や手術後・薬剤による副作用・泌尿器科疾患など様々な病態から発症します。早期診断・早期治療すれば腎臓の機能は回復しますが、後にCKDに通じる可能性があります。
急速進行性糸球体腎炎 (RPGN) 週~月の単位で進行する腎疾患の総称で、肺・腎症候群として呼吸器症状や血痰を伴うこともあります。可能な限り早期に腎生検を行って診断を確定して積極的に治療することで腎機能の回復を目指すことが重要です。

腎炎

急性糸球体腎炎 (PSAGN) 扁桃炎などの後に発症することが多く、肉眼的血尿で気づくこともあります。一般に腎炎は治りますが、急性期は入院治療が必要です。
慢性糸球体腎炎 (CGN) 日本ではIgA腎症が最も高頻度に認められます。反復する肉眼的血尿や検尿異常で発見されることが多い病気です。当院では扁桃摘出とHotta式ステロイド・パルス療法に上咽頭炎治療を追加する根治療法を受けて頂くことが可能です。現在通院中のIgA腎症153名の方の内訳は99名が完全寛解・34名が寛解後維持/地固め療法・20名は初期評価・治療開始期です。

ネフローゼ症候群

尿に大量の蛋白が漏れ出る病気です。むくみ(浮腫)や尿の泡立ちで来院される方もいます。腎生検を施行し、組織診断に基づいて、最適の治療方針を決定します。
原発性糸球体疾患 微小変化型・巣状糸球体硬化・膜性腎症・膜性増殖性腎炎などがあります。
二次性ネフローゼ症候群 膠原病[全身性エリテマトーデス(SLE)・ANCA関連血管炎・抗GBM抗体腎炎・糖尿病・アミロイドーシス・多発性骨髄腫などの全身疾患に伴って発症するものもあります。当院ではアミロイドの診断のために腹壁下脂肪生検や小唾液腺生検も行っています。

多発性嚢胞腎

常染色体優性多発性嚢胞腎は加齢とともに嚢胞が多発し腎臓が腫大して、70歳までに50%の方が透析に至ります。バソプレシン (=体液喪失時に尿量を減らすためのホルモン) が嚢胞を増大させることから、バソプレシンを抑えるトルバプタンという薬に嚢胞増大を抑制し腎機能低下を抑制する期待が高まっています。トルバプタンの適応を判断するには腎サイズを測定する必要があり、開始する際は入院が必要です。当院ではMRIを用いて腎サイズを測定します。「3泊4日のトルバプタン導入入院」はクリニカルパスで行います。
腎嚢胞・多発性嚢胞腎専門外来を名古屋市で初めて(平成28年10月現在)開設しました。

高血圧

腎臓が障害されると高血圧が発症すると同時に、血圧が高いと腎障害が加速される悪循環が形成されます。降圧目標130/80 mmHg未満を達成するのみならず論理的な降圧薬の選択も腎保護には欠かせません。診察室での血圧ではみつけることのできない夜間高血圧が寿命に及ぼす影響が大きいことが最近明らかとなり、この診断のために当院では24時間携行型血圧測定を積極的に取り入れています 。
悪性高血圧/加速進行性高血圧 原因が何であれ、急激に血圧が上昇すると悪性サイクルに陥って腎不全に至ることがあります。時間や日の単位で血圧を低下させる治療を行えば腎機能も回復しますが放置すれば短期間で腎臓が悪くなります。
腎血管性高血圧/虚血性腎症 腎動脈が狭窄すると血圧が上昇します。両側の腎動脈が狭窄すると腎機能が低下し、この病態を虚血性腎症と呼びます。狭窄を解除すれば血圧は正常化して腎機能も回復する可能性があります。当科医師はこの診断に有用な腎動脈エコーのインストラクターも務めています。
本態性高血圧症 高血圧の90%以上を占める最も一般的な高血圧で遺伝的な素因を背景に発症します。臓器障害や循環器系リスクの重責状態を考慮して積極的適応となる降圧薬を選択し、降圧目標を決定しています。
原発性アルドステロン症 高血圧の5~20% の頻度とされているが本症と診断されず投薬されていることも少なくありません。当院ではスクリーニング検査から確定診断に至るまでの診断プロセスを実践しています。

主な治療法

慢性腎不全/腎炎 レニン-アンデオテンシン系抑制薬を中心とした積極的降圧に、高脂血症治療薬(スタチン)やアスピリンを加えた集学的治療によって進行抑制を図ります。糖尿病性腎症の早期では、蛋白尿を消失させることを目指します。IgAでは扁桃摘出にステロイド・パルス療法を組み合わせて根治を目指します。
ネフローゼ症候群 組織型・合併症・挙児希望に応じてステロイドと免疫抑制薬 (シクロホスファミド・カルシニューリン阻害薬・ミゾリビン・ミコフェノール酸モフェチル) を最適量で組み合わせて個別処方します。治療に反応し難い巣状糸球体硬化症に対してはLDLアフェレーシスも併用しています。
多発性嚢胞腎 トルバプタンによる多発性嚢胞腎進行抑制療法のクリニカルパスを施行しています。この治療のために必要な腎サイズ測定を最先端のMRIで算出しています。 
腎嚢胞・多発性嚢胞腎専門外来を名古屋市で初めて(平成28年10月現在)開設しました。
腎血管性高血圧/原発性アルドステロン症 経皮的腎動脈血行再建術や腹腔鏡下副腎腺腫摘出術も実施しています。高血圧患者さんに対して、おひとりずつの病態に応じたテーラーメイドの処方で臓器障害の改善や心血管合併症の予防に努めています。
末期腎不全 血液透析・CAPD・腎移植のいずれをも、患者さんの希望や病態に応じて選択できるような患者教育を徹底しています。もしも透析が必要となった際の手術も、腎不全にならぬようにともに頑張ってきた、よく理解し合えている医師が担当しますのでご安心下さい。

診療実績

腎臓病領域多岐にわたる診療実績がございます。


2004年~2018年11月現在に行った腎生検698件のうち222件がIgA腎症もしくはIgA血管炎 (紫斑病性腎炎)でした。他院からの依頼で生検のみを行った、もしくは転居のため当院で治療を受けなかったのは42名、現在治療開始前の方は12名、生検時に既に腎機能が低下していた方は8名でした。残る160名のうち142名の方のIgA腎症は寛解しています。血尿が消失し蛋白尿の残る方は14名、血尿も蛋白尿も残る方は4名でした。これらの検尿異常が改善しない18名は扁桃摘出もしくはステロイド療法を受けておられない方であり、扁桃摘出+ステロイドパルス+上咽頭治療を受けておられる方は全員がIgA腎症の寛解を得ています。
診療実績 (件数/年) 2016年 2017年
腎生検 54 68
透析導入 42 37
シャント手術 58 60
シャントPTA 42 29

腎生検

直近の数年間の腎生検数 (自施設でなく関連病院で行った生検数を提示なさる病院も少なくありませんが実際の当院実績をお示しします) は概ね約40→50→70件(2015年→2016年→2017年)と増加しています。
5~7 日間のクリニカルパス入院で行っています。

シャント(透析バスキュラーアクセス)治療

年間70~80件のシャント手術(血栓除去+PTAを含む)を実施しています。
腎機能が低下してしまった方の血清クレアチニン値が少しでも下がるようにあらゆる手を尽くしますがもしも透析が必要となった際のシャント手術は『腎不全にならぬように共に頑張ってきた、理解し合えている腎臓内科医師』が担当しますのでご安心下さい。
さらに当院では手術をした後も透析に至らない努力を決して諦めません。
自己血管内シャント (年間50~60件),人工血管内シャント(同 約20件) 、PTA (同30~40 件) のほかに長期留置透析カテ、中心静脈リザーバ、CAPDカテ留置術などを行っています。
入院が必要なシャントトラブル(感染・閉塞)でお困りの際も是非御紹介下さい。

透析・移植

年間 40~50 件の新規透析導入を行っています。
新規導入以外の血液浄化療法 (他院維持透析患者さんの合併症:循環器内科・心臓血管外科など・炎症性腸疾患や膠原病へのアフェレーシス治療)を含めると年間約2000件の透析治療を行っています。
腹膜透析・腎移植も血液透析と同等に重視し円滑に実践しています。

臨床研究のご案内(オプトアウト)

当院では大学病院としての特殊性から「医学部実習及び医学研究への御協力のお願い」を掲示しておりますが日常診療で得られたデータを患者さんに伏せて研究目的に用いることはございません。研究にあたっては2つの手続きを取っています。1つめは「前向き研究」です。患者さんに検査や治療を行う場合に事前に研究についてご説明してからデータの収集を行うものです。2つめは「後ろ向き研究」です。既に「研究のためではなく通常の臨床上必要な検査・治療」を施行済みのデータを解析する研究です。研究のために検査や治療を行うものではございません。前向き研究については当院の臨床研究開発支援センターのHPで参照できます。後向き研究は『患者さんの個人情報脅かし・不利益は一切生じない』ことから不同意の意思表示や質問等を賜る連絡先の明示を公表することが求められており,オプトアウトとよばれています。ご希望があれば他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で研究計画書・関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。また試料・情報が当該研究に用いられることに患者さんや代理人の方にご了承頂けない場合は研究対象としませんのでお申出ください (連絡先・腎臓内科 福田道雄)。研究への御協力に同意頂けない場合でも患者さんに不利益が生じることは決してございません。腎臓内科・人工透析部に関わる「後ろ向き研究」についてのオプトアウト一覧はこちらをクリックして下さい。

スタッフ紹介

(令和元年6月1日現在)
役職 氏名 専門分野
部長代理・助教 水野 晶紫 日本内科学会(認定内科医・指導医・総合内科専門医)
日本腎臓学会 (専門医・指導医)
日本透析医学会 (専門医)
日本リウマチ学会 (専門医・暫定指導医)
臨床研修指導医
助教 小野 水面 日本内科学会(認定内科医・指導医・総合内科専門医)
日本腎臓学会 (専門医)
日本透析医学会 (専門医)
臨床研修指導医
※前)名古屋市立東部医療センター腎臓内科部長
病院助教 鈴木 大成 日本内科学会(認定内科医・指導医・総合内科専門医)
日本腎臓学会 (専門医・指導医)
臨床研修指導医

よろしくお願いいたします

外来担当者一覧