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消化器内科


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診療科部長からのメッセージ

片岡 洋望

消化器内科は、肝・膵臓内科とともに、食道、胃、大腸といった消化管、肝臓、膵臓、胆嚢、胆管などほとんどすべての腹部臓器を対象とし、診療を行っています。対象とする臓器が多いうえ、疾患も多岐にわたっていますが、経験豊富な診療スタッフを揃え、いずれの分野でも質の高い医療を提供できるよう心がけています。診療にあたっては、できるだけわかりやすく説明し、また疑問には十分お答えし、納得いただいたうえで診療をすすめています。

診療科の特色

消化器内科は食道、胃、十二指腸、小腸、大腸の炎症性疾患および悪性疾患の診断および治療を行う診療科です。特に、食道・胃・大腸の早期癌の診断と内視鏡的治療、進行癌に対しては化学療法を中心とした集学的治療に積極的に取り組んでおります。また、炎症性腸疾患の診断と治療、小腸・大腸カプセル内視鏡による診断に取り組んでいます。

診療・治療に対する心がけ

近年の内視鏡機器や技術の発展に伴い、多くの早期消化器癌が内視鏡的治療により根治可能となってまいりました。
また、化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療、さらには遺伝子診断や免疫療法の発展に伴い、消化器癌に対しては病状により様々な選択肢が可能となってきています。当科では、多機能の内視鏡機器を使用した内視鏡診断に加え、放射線科による画像診断や病理部による組織診断も加味し、個々に応じた治療方針を提案できるよう努めております。
早期消化管癌に対しては、「内視鏡的に根治可能な腫瘍は、内視鏡で切除する」というコンセプトのもと、サイズの大きな腫瘍・アプローチ困難な部位に発生した腫瘍・治療後再発などの高度線維化腫瘍などの切除困難病変に対しても、あきらめることなく内視鏡的粘膜下層剥離術を積極的に行い、根治切除の向上とともに安全で侵襲の少ない治療を目指しています。さらに当院では、限られた施設のみでしか行われていない、難易度の極めて高い十二指腸腫瘍に対する内視鏡的治療も積極的に行っております。
化学放射線療法後の局所遺残、再発食道癌に対する治療としてPhotodynamic therapy(PDT)を行っております。PDTは当院を含めた全国の7施設で医師主導治験を行い、2015年10月に保険診療として認められました。PDTは口から挿入する内視鏡のみで治療ができ、手術に比較してはるかに低侵襲な最先端のレーザー治療です。
進行癌では常に外科や放射線科と協力しながら、化学療法、免疫療法を含めた集学的治療を積極的に行い、患者さん一人一人に応じた治療法が行われるように努めています。
またクローン病、潰瘍性大腸炎などの難治性疾患の患者さんには常に重症度や治療歴を十分考慮した診療を心がけ、白血球除去療法、抗TNFα抗体、抗IL-12/23抗体療法、抗インテグリン抗体やJAK阻害剤などの治療も積極的に取り入れて、患者さんのQOL(生活の質)の改善、寛解を目指しています。

主な疾患

食道 胃食道逆流症 逆流性食道炎 食道裂孔ヘルニア
バレット食道 食道癌 食道粘膜下腫瘍
慢性胃炎 胃リンパ腫 胃潰瘍
ヘリコバクターピロリ感染 機能性胃腸症 (Functional Dyspepsia) 胃ポリープ
胃腺腫 胃癌 胃粘膜下腫瘍
十二指腸・小腸 十二指腸潰瘍 十二指腸腺腫・癌 クローン病
小腸出血 小腸腫瘍 小腸リンパ腫
大腸・直腸 大腸ポリープ 大腸腺腫 大腸癌
大腸憩室症 潰瘍性大腸炎 クローン病
過敏性腸症候群 虚血性腸炎 感染性腸炎(食中毒)
大腸リンパ腫 薬剤性腸炎 虫垂炎

主な治療法

食道

病名 症状・治療法
胃食道逆流症
逆流性食道炎
胸焼け、咽頭違和感、嚥下困難、酸っぱい胃液が込み上げるなどの症状を伴います。
食道裂孔ヘルニア 胃食道逆流症、逆流性食道炎を合併しやすくなります。 内視鏡あるいは腹腔鏡による縫縮(縫って縮める)手術で治療することがあります。
食道腫瘍
食道癌
喫煙や飲酒歴の長い50歳以上の男性は特に注意が必要です。つかえ感が主な症状です。 当科では拡大内視鏡観察、超音波内視鏡検査を駆使した精度の高い深達度診断を行い、内視鏡的に根治可能な早期食道癌であればESD (Endoscopic Submucosal Dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)による治療を第一選択として積極的に行っています。進行食道癌に対しては放射線科と連携しながら化学放射線療法を行います。また、化学放射線療法後の局所遺残、再発に対しては、光線力学療法(PDT)を積極的に行っております。また、新規治療薬開発にも力を入れております。
食道粘膜下腫瘍 検診で偶然発見されることが多い疾患です。当科では超音波内視鏡検査を駆使した精度の高い診断を行います。

病名 症状・治療法
慢性胃炎 胃レントゲン検査や内視鏡検査では明らかな異常がないのに胃の症状が続く方はご相談下さい。
急性胃炎 アルコール、薬物、アニサキス(あじ・さば・いか・にしんなどの寄生虫)、ストレスなどが誘因となりえます。
胃潰瘍 ピロリ菌の除菌治療により再発率を数%におさえることができるようになりました。
ヘリコバクターピロリ感染 現在、ピロリ菌の除菌療法は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍のみが厚生労働省より保険適用が認められています。胃炎・胃MALTリンパ腫・胃癌予防などにおける除菌の有用性が検討されています。ピロリ菌陽性を指摘されている方は、一度ご相談下さい。
機能性胃腸症
(Functional Dyspepsia)
腹痛、胃もたれ、胸やけ、呑酸などの症状が長期間にわたって継続する疾患です。食道、胃、大腸などの内視鏡検査で形態的な異常がなく、消化管の運動や感受性の異常が原因と言われています。 当科では必要に応じて問診アンケートや消化管機能検査を施行し適切な治療を行っています。
胃ポリープ
胃腺腫
放置可能な良性のものから処置が必要なものまでがあります。 当科では必要に応じて拡大内視鏡観察、超音波内視鏡検査を駆使した精度の高い診断を行い、切除の必要がある病変に対しては内視鏡的ポリペクトミー、ESD (Endoscopic Submucosal Dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)による治療を行っています。
胃癌 早期胃癌の中には内視鏡的切除術で完治するものがあります。積極的に胃癌検診を受けましょう。 当科では拡大内視鏡観察、超音波内視鏡検査を駆使した精度の高い深達度診断を行い、内視鏡的に根治切除の可能性がある胃癌であればまずはESD (Endoscopic Submucosal Dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)による治療を積極的に行っています。 外科的手術が不可能な進行胃癌に対しては、最新のエビデンスに基づいて当大学病院の化学療法委員会で承認された抗がん剤レジメンによる治療を行っています。病状が安定されている方は、当大学病院の外来化学療法室と連携し、外来通院による化学療法(抗がん剤治療)を行っています。また、複数の全国規模の臨床研究に参加し、最良な化学療法の開発にも努めております。
胃粘膜下腫瘍 最近では腹腔鏡を用いた侵襲の少ない方法で積極的に切除して診断的治療をする場合が増えています。 当科では超音波内視鏡検査を駆使した精度の高い診断を行います。

十二指腸・小腸

病名 症状・治療法
十二指腸潰瘍 ピロリ菌の除菌治療により再発率を数%におさえることができるようになりました。
十二指腸腫瘍 十二指腸腫瘍は稀な腫瘍ですが、近年の内視鏡画像の発展に伴い前がん病変や早期癌で発見されるケースが増加してます。高難度の内視鏡技術を要するため、従来は経過観察されることが多かったこれらの腫瘍に対しても、当院では、ESD (Endoscopic Submucosal Dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)を含めた内視鏡的治療を積極的に行っております。
クローン病 若い方に多く、原因不明の腹痛や下痢が続きます。病態の解明の研究や抗TNFα抗体、抗IL-12/23抗体や抗インテグリン抗体を使った有効な治療法の開発に力を入れています。治療効果を上げるため血球成分除去療法との併用治療も行っております。また、新規治療薬の開発にも力を入れております。
小腸出血 最近では高齢者の小腸出血性疾患が増加しています。 当科では最新の小腸カプセル内視鏡、ダブルバルーン小腸内視鏡を用いて診断が困難な小腸出血の診断、治療を行っています。
小腸腫瘍 小腸の腫瘍はまれな疾患です。診断が困難な領域ですが、当科では最新のカプセル内視鏡、ダブルバルーン小腸内視鏡を用いて、積極的な診断、治療を行っています。

大腸

病名 症状・治療法
大腸ポリープ
大腸腺腫
大腸癌検診が行われるようになり多くの大腸ポリープが発見され内視鏡的切除で安全に治療されています。早期発見早期治療で大腸癌予防を目指し、積極的に検診を受けて下さい。ポリープが発見された方はご相談下さい。当科では大腸内視鏡挿入困難な方、苦痛の大きな方に対して大腸カプセル内視鏡検査を行っています。 当科では大腸内視鏡的ポリペクトミーは1泊2日ないし2泊3日の短期入院で行っています。大きさ2cmを超える大きな腫瘍に対しては、必要に応じてESD (Endoscopic Submucosal Dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)による内視鏡的治療を行っています(この場合入院期間は約1週間)。
大腸憩室症 憩室は多くの方にみられますがほとんど症状をきたしません。しかし、まれに憩室炎や憩室出血を生じることがあります。
大腸癌 早期発見早期治療のため検診を受けましょう。便秘症、下痢症や痔だと自己判断せず一度は精密検査を受けることをお奨めします。当科では拡大内視鏡観察、超音波内視鏡検査を駆使した精度の高い診断を行い、内視鏡的に根治切除の可能性がある早期大腸癌と判断された場合は、ESD (Endoscopic Submucosal Dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)などによる内視鏡的切除を第一選択としております。進行大腸癌に対しては、最新のエビデンスに基づいて当大学病院化学療法委員会で承認された抗がん剤レジメンによる治療を行っています。全身状態や臓器能、大腸癌の原発腫瘍の状態や転移臓器、複数の遺伝子診断を駆使し、過去のデータから最も効果がえられる確率の高い治療法を個々の症例に応じ選択しています。また、消化器外科とも密接に連携し、化学療法・外科的切除を組み合わせた集学的治療法を積極的に行っております。さらに、数多くの全国規模の臨床研究に参加し、よりよい化学療法の開発にも努めております。
潰瘍性大腸炎 若い方に多く、頻回に粘血便が続きます。病態の解明や抗TNFα抗体、抗サイトカイン療法、抗IL-12/23抗体、抗インテグリン抗体やJAK阻害剤を使った有効な治療法の開発に力を入れています。治療効果を上げるため血球成分除去療法との併用治療も行っております。また、新規治療薬開発にも力を入れております。

その他

病名 症状・治療法
クローン病 若い方に多く、原因不明の腹痛や下痢が続きます。病態の解明の研究や抗TNFα抗体や抗IL-12/23抗体や抗インテグリン抗体を使った有効な治療法の開発をしています。また、新規治療薬の開発にも力を入れております。
虚血性腸炎 頑固な便秘後の排便を契機に突然の腹痛・血便で発症します。
感染性腸炎(食中毒) 腹痛・下痢・嘔吐などを生じます。発症前の食事内容を十分検討することが必要です。
腸結核 肺結核の既往がない方にもみられることがあります。
薬剤性腸炎 抜歯後の化膿止め・急性気管支炎などに対して抗生物質を飲んだ後に、腹痛・下痢・下血を生じる病気です。
虫垂炎 痛みがみぞおちから始まり徐々に右下腹部に移動してくるのが一般的です。早い時期の軽症なら抗生物質の投与で治りますが、遅れると腹膜炎を合併して手術も大きくなり回復に時間がかかります。
過敏性腸症候群 下痢と便秘を繰り返しストレスのある方によく見られます。心当たりのある方は是非一度ご相談下さい。
腸管型ベーチェット病 口内炎、毛嚢炎、陰部潰瘍などに加え右下腹部痛および血便を伴った時には、腸管型ベーチェット病を疑います。大腸内視鏡検査での回盲部深ぼれ潰瘍所見で診断します。アミノサリチル酸やステロイド薬で治療開始し、難治例では、抗TNFα抗体を使用し、寛解を目指します。
神経内分泌腫瘍/癌 多彩な臨床像を呈する悪性腫瘍であり、近年増加してきております。早期では内視鏡治療や外科的切除、進行期では外科的切除や化学療法(もしくは組み合わせ)を含めた集学的治療を科学的根拠に基づき行います。
消化管間質腫瘍(GIST) 一般的に粘膜下腫瘍の形態をとります。他の画像診断に加え、超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)により組織診断を行います。外科と連携し、科学的根拠に基づいたよりよい治療を行います。

スタッフ紹介

(令和6年10月1日現在)
役職 氏名 専門分野
部長・教授 片岡 洋望 消化管疾患の診断と治療、特に食道癌、胃癌、
大腸癌の内視鏡診断と治療、消化器癌の化学療法
准教授
(内視鏡医療センター長)
久保田 英嗣 消化管疾患の診断と治療
副部長・准教授 志村 貴也 消化管腫瘍の内視鏡診断と治療、消化器がん化学療法
講師 尾関 啓司 消化管疾患の診断と治療、炎症性腸疾患、カプセル内視鏡
助教 田中 守 消化管疾患の診断と治療、内視鏡診断・治療
助教 杉村 直美 消化管疾患の診断と治療、内視鏡診断・治療
助教 福定 繫紀
消化管疾患の診断と治療、内視鏡診断・治療
病院助教 管野 琢也 消化器疾患の診断と治療、内視鏡診断・治療
病院助教 佐々木 槙子 消化器疾患の診断と治療、内視鏡診断・治療
病院助教 小島 悠揮 消化器疾患の診断と治療、内視鏡診断・治療
病院助教 西垣 瑠里子 消化器疾患の診断と治療、内視鏡診断・治療
臨床研究医 金岩 弘樹 消化器疾患の診断と治療、内視鏡診断・治療
臨床研究医 宇野 好 消化器疾患の診断と治療、内視鏡診断・治療
臨床研究医 貫井 嵩之 消化器疾患の診断と治療、内視鏡診断・治療
臨床研究医 佐々木 康成 消化器疾患の診断と治療、内視鏡診断・治療
教授
(臨床研究開発支援センター長)
神谷 武 消化管疾患の診断と治療、特に胃食道逆流症、
機能性消化管障害(FD、IBS)の診断と治療

外来担当者一覧



胃腸でお悩みの方へ

食道・胃・十二指腸・大腸の早期がんに対しては、熟練した医師が内視鏡的に切除しています。進行がんに対しては、多職種と連携し、薬物療法のエキスパートにより、科学的根拠に基づいた最新の薬物療法を行っております。ピロリ菌に関する胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの疾患に対しては、豊富な知識と経験に基づいた的確な治療を行っています。炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)においては、食事栄養療法、抗サイトカイン(TNFアルファ抗体)療法や血液浄化療法といった最新技術を積極的に取り入れています。
胃腸でお悩みの方は、どなたでもお気軽にお越しください。


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消化器内科についての詳しい内容は、
名古屋市立大学大学院医学研究科 消化器・代謝内科学ホームページを参照ください。

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