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こころの医療センター


ホーム > 診療科・中央部門紹介 > 診療科 > こころの医療センター


診療科部長からのメッセージ

 ストレスに満ちあふれる現代社会では、誰しもこころの変調を経験する可能性があります。また、がんや心疾患、脳卒中など身体の病気を抱えることで、治療が望まれるような気持ちのつらさを経験することもあります。このような社会状況や疾病構造の変化を受けて、うつ病や不安障害のように、あらゆる人が経験し得るこころの病気が増えています。一方、これらのストレスに起因するこころの病も放置しておくと社会生活を営むうえで大変な支障になることが知られています。
 私たちは「こころの医療センター」を開設し、様々な精神疾患に対して、その特徴・重症度に応じた専門治療、入院治療をご提供しています。特に大学病院での診療が必要と考えられる患者さん(例:例えば大学で提供している修正型電気けいれん療法の適応の患者さん、身体の病気を当院で治療されている患者さん、児童思春期の専門医の診察を必要とする患者さんなど)の専門診療に力を注いでいることをご理解いただけますと幸いです。
 また、こころの病をきちんと診療させていただくためには、初診において十分な診察時間が必要となるため、当センターでは紹介状をご用意された患者さんの初診に予約制で対応いたしております。現在精神科クリニックや精神科専門病院に通院中の方は、通院先のクリニックや病院から当科宛ての紹介状を持参してください。なお、当科の初診予約は、各医療機関より当院地域連携センターを通して取得していただけます。

診療科の特色

こころの病(やまい)全般について、外来及び入院治療を行っています。
外来では一般外来以外に、「児童外来」(主に中学生以下の子どもを対象としており、対象疾患は特に限定していません)、「てんかん外来」と2つの専門外来を設けています。
入院病棟は28床を有し、うつ病、双極性障害、統合失調症、てんかん、認知症、器質性精神疾患、児童思春期精神疾患などを中心とした種々の精神神経疾患を診療しております。協力病院などからの依頼に応じて、可能な限り、こころの病の患者さんの身体合併症の治療もお引き受けしています。また、他診療科に入院中の患者さんに、こころのケアを提供するコンサルテーション・リエゾン精神医療に力を入れています。中でも、がんの患者さんのこころのケアに積極的に取り組んでおり、専門のチームとして、サイコオンコロジーチームを設けています。

診療・治療において心がけていること

患者さん其々のご病状や置かれている背景を考慮しながら、エビデンス(系統的な臨床研究から得られた実証的証拠)に基づく治療を、説明とご同意の上で提供し、生活の質を最大限維持していただけるよう心がけております。

主な疾患

  • うつ病
  • 双極性障害(躁うつ病)
  • 統合失調症
  • パニック障害
  • 社交不安障害
  • 強迫性障害
  • 身体表現性障害
  • 適応障害
  • 発達障害(自閉症スペクトラム)
  • 認知症(痴呆)
  • 器質性精神障害
  • 注意欠如・多動性障害
  • てんかん
  • せん妄

具体的には次のような症状の時、ご相談ください

  • ゆううつで、つらい
  • うつ気味で、気力がない
  • 決断力、判断力が落ちた
  • 考えが次々浮かんできて、集中できない
  • 眠れない、あるいは日中眠くて仕方ない
  • 朝早く起きてしまう、眠った気がしない
  • テレビも新聞も面白くなく、趣味にも興味が持てない
  • 考えがうまくまとまらない
  • 口数が減った、笑わなくなった
  • 周りの人の目が気になる
  • 独り言を言う
  • まわりから監視されている気がする
  • 学校に(会社に)行きたくない、不登校、出社拒否
  • 気分がすぐ変わる
  • 不安である、落ち着かない
  • 電車やバスに乗るのが怖い、高速道路が怖い、人混みが怖い
  • 急に不安発作が起こる
  • また不安発作が起こるのではないかと心配で何もできない
  • 人と会うとき過度に緊張する
  • 緊張してしまうので人前で話すのが苦痛
  • 人間関係で悩んでしまう
  • ささいなことが気になる、同じことばかり気にしてしまう
  • 何度も手を洗わないと(戸締まりや火の元を確認しないと)気が済まない
  • 落ち着きがない子と言われる

体だけの症状のように見える次のような時にも

  • 身体に異常はないといわれたが、体がだるい、疲れがとれない状態が続く
  • 体重が急に減ったが、検査をしても異常なしといわれた
  • 胃腸に異常はないと言われたが、食欲がない
  • 急に動悸がして(呼吸困難になって)救急車で運ばれたが、異常なしと言われた
  • 重大な病気(癌)が潜んでいるのではないかと思って心配だが、異常なしと言われた
  • ひきつけ、けいれん発作

主な治療法

薬物療法 こころの病気は、心理的な側面にも身体的な側面にも「根っこ」を持っています。エビデンス(系統的な臨床研究から得られた実証的証拠)に基づき、一人一人の患者さんに最適な薬物治療を提案します。
精神療法 こころの病気に心理的な側面からアプローチします(パニック障害、強迫性障害などの特定の疾患に対する認知行動療法は現在実施しておりません。また、こころの医療センターとしては外来でのカウンセリングは現在実施しておりません。)。
光療法 せん妄、うつ病の一部に有効であることがあります。
電気けいれん療法 これまでに数種類の抗うつ薬を十分量、十分期間服用しても改善の得られない難治性うつ病や、副作用のために薬物治療を行えない治療抵抗性うつ病、高齢者のうつ病などに対しては、修正型電気けいれん療法(週2回ずつ約10回を1クールとして施行)を麻酔科の協力を得て行っています。

受診するにあたってのお願い

当院こころの医療センターは、皆様のこころの健康を守るために、市中の病院、クリニックと連携しながら、その特徴を十分生かせるよう役割を分担し、日々の診療に当たっております。
従って、次にご説明するような理由により、当院こころの医療センターに初めて受診される方の診察は、完全予約制、というシステムを採用しております。また、当センターでは、ご病状が安定している患者さんは地域の医療機関に逆紹介をさせていただいておりますのでご了承ください。なお、こころの医療センターの診療が終了し他院にご紹介して半年以上経過してから、あらためて当科への受診をご希望される場合は、原則的に再度ご紹介状をご用意いただいた上で初診となります。綿密な地域医療機関との連携のために何卒ご了承のほどをお願いいたします。

受診の方法

当院こころの医療センターは、高度医療および先進医療の担い手であるという側面から、設備や技術的な側面あるいは身体疾患の合併などで市中の他の医療機関では対応が難しい患者さん、当科での専門外来受診が望ましいと判断された患者さんを中心に診療を提供することが使命であると考えております。したがって、地域医療機関からご紹介頂いた方を対象に診療を行う体制をとっております。
2021年4月1日より初診予約方法が変更となり、患者さん個人での初診予約は終了しております。現在は、医療機関を通しての初診予約のみ承っております。専用の診療予約申込票をご使用いただき、初診予約を取って下さいますようお願いいたします。

予約制を取っております

初回の診察は、今後の治療方針を決定していく上で大切なものです。こころの医療センターはこころを扱う診療科である性質上、また、研修医や医学生の臨床教育を担う大学病院であるという理由から、初診では、予診(本診察の前に行う、概要を把握させていただくための診察のことです)を含めてお一人に平均60分から120分ほどのお時間を頂いております。従って、予約制とさせて頂き、十分に時間を確保した落ち着いた環境の中で、初回の診察を進めていくことを心がけております。

ご不便をおかけして誠に恐縮ですが、他の医療機関と連携をはかりながら、大学病院としての使命を果たしていくために必要な取り組みでございますので、ご理解とご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

専門外来

児童外来 児童・思春期に特有な疾患について個人精神療法を中心に行っています。 火曜午後
てんかん外来 難治性および診断困難なてんかんの診断・治療を行っています。 金曜午後
産後のこころの外来 産後の抑うつ不安に対して治療を行っています。 水曜午後
サバイバーシップ外来 がんを経験した方の精神心理的支援を行っています。 水曜午後

スタッフ紹介

(令和5年4月1日現在)
役職 氏名 専門分野
部長・教授 明智 龍男 サイコオンコロジー、緩和医療、コンサルテーション・リエゾン精神医学、心理社会的介入、気分障害、Evidence-Based Psychiatry、その他精神科疾患全般
副部長・講師 東 英樹 てんかん・臨床脳波学、修正型電気けいれん療法、睡眠医学、その他精神疾患全般
講師 内田 恵 サイコオンコロジー 、緩和医療、コンサルテーション・リエゾン精神医学、その他精神疾患全般
講師 白石 直 家族療法、学校精神保健、産業精神保健
助教 中口 智博 コンサルテーション・リエゾン精神医学、サイコオンコロジー、不安障害、その他精神科疾患全般
助教 渡邉 孝文 アクセプタンス&コミットメント・セラピー、認知行動療法、動機づけ面接法、精神科薬物療法、気分障害、不安障害 
助教 利重 裕子 対人関係療法、死別関連うつ病、グリーフ・ケア

外来担当者一覧