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放射線治療科


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診療科部長からのメッセージ

樋渡 昭雄

名古屋市と周辺地域の医療において重要な役割を担う本学の放射線治療科では、リニアック1台、トモセラピー2台とコンピューター治療計画装置11台を有しており、1台のリニアックはTrue Beamです。またトモセラピーのうちの1台は、Radixactであり、平成29年10月からアジア初として稼働しています。コンピューター治療計画装置ではRay Stationが平成27年から日本初として7台が稼働しております。これらの装置を駆使して、頭部および体幹部の定位放射線治療(ピンポイント照射)、強度変調放射線治療(IMRT:部位により放射線の強度や形を変化させる治療)をはじめとして、幅広く放射線治療を行っております。
 放射線治療はほとんど全ての癌・悪性腫瘍が対象となります。当院でも対象疾患はすべて診療しておりますが、なかでも前立腺がん、乳がん、肺がん、食道がん、子宮がんなどで「切らずに治すがん治療」を推進しております。がんの治療で迷われた場合も是非受診ください。

診療科の特色

癌に集中した照射を行うことで治療成績の向上や副作用軽減を目指す高精度放射線治療を積極的に実施しています。TrueBeam(トゥル-ビーム)、Radixact(ラディザクト)、Tomotherapy(トモセラピー)を各1台、合計3台有し、これらの高精度放射線治療装置を有効活用することで、全治療件数における高精度治療の比率は6割を占めており、国内トップクラスです。最新の放射線治療機と豊富な治療実績をもち、放射線治療専門医、医学物理士、放射線治療専門放射線技師、放射線治療品質管理士、看護師による充実した診療体制により、安全で質の高い放射線治療を提供しています。

診療・治療に対する心がけ

充実した高精度放射線治療装置を充分に活用し、患者さんの負担の少ない最適な放射線治療を受けられるよう心がけています。治療方針については、他診療科の医師と連携し、患者さんに十分な説明を行った上で決定し、治療を実施しています。

主な疾患

放射線治療は、正常臓器の形態・機能を維持しつつ、がんの治癒を目指す、「切らずに治す」がん治療です。放射線治療は、手術、化学療法と並んで、がん治療に欠かせない治療法の1つであり、他診療科の医師と連携して、放射線治療の方針を決定しています。当院で放射線治療を実施している主な疾患です。
中枢神経系
転移性脳腫瘍(定位照射) 悪性神経膠腫 その他の原発性脳腫瘍
頭頸部腫瘍
眼・眼窩腫瘍(悪性リンパ腫など) 鼻腔・副鼻腔癌 上咽頭癌
中咽頭癌 下咽頭癌 喉頭癌
口腔癌 (頬粘膜, 歯肉, 舌など) 唾液腺腫瘍  甲状腺癌
外耳道癌  原発不明癌リンパ節転移 頭頚部癌術後照射
胸部
非小細胞肺癌 (定位照射) 非小細胞肺癌 (通常照射) 小細胞肺癌
縦隔腫瘍(胸腺腫、癌など) 悪性胸膜中皮腫
乳房
乳癌(乳房温存療法後) 乳癌(乳房切除術後)
消化器
頸部食道癌 食道癌(頸部以外) 肝臓癌
膵臓癌 肛門癌 直腸癌
泌尿器
前立腺癌 前立腺癌術後PSA再発 膀胱癌
精巣腫瘍
婦人科
子宮頸癌 子宮頸癌術後    膣癌・外陰癌
子宮体癌
血液・リンパ系腫瘍
ホジキンリンパ腫 非ホジキンリンパ腫 骨髄腫
形質細胞腫 白血病
皮膚癌
骨・軟部腫瘍
オリゴ転移(少数個の転移)
緩和目的
転移性骨腫瘍 転移性脳腫瘍(全脳照射) その他緩和、緊急照射
良性疾患
甲状腺眼症 ケロイド

主な治療法

1. 定位放射線治療
がんに放射線を集中できる、いわゆるピンポイント照射です。1回大線量で小数回の治療を行い、大きな効果を上げています。治療の負担が少なく通院でも可能です。また最近では後述する動体追尾照射が可能となり、最小限の照射範囲により副作用のリスクがさらに低下しています。
(主な対象疾患) 転移性脳腫瘍 早期肺癌 転移性肺腫瘍 肝臓癌 転移性肝腫瘍 前立腺癌 転移性骨腫瘍(椎体) オリゴ転移(少数個の転移)

2. 強度変調放射線治療(IMRT)
がんに放射線を集中し正常組織への照射を抑える治療法です。副作用を抑え、治療後のQOL(生活の質)維持が期待できます。例えば、頚部の放射線治療では唾液腺に照射されることで、味覚や嚥下に障害がでていましたが、IMRTによりこれらの副作用が劇的に軽減可能です。当院では、Radixact(ラディザクト)とTomotherapy(トモセラピー)という2台の最新IMRT専用機と最新高精度放射線装置のTrueBeam(トゥル-ビーム)でIMRTを実施しています。
(主な対象疾患)他臓器への転移のないほぼすべての癌

3. 画像誘導放射線治療(IGRT)
当院の3台の放射線治療装置は、いずれも治療直前のCT画像が取得可能で、癌の位置を0.1ミリ単位で狙って照射可能です。これを画像誘導放射線治療(IGRT)といい、定位放射線治療やIMRTなどの高精度放射線治療では必須の技術です。
(主な対象疾患)IMRTや定位照射で治療される症例 

4. 呼吸同期放射線治療
肺や肝臓の腫瘍は呼吸に伴い大きく動くため、従来の放射線治療法では照射範囲を広くする必要があります。呼吸同期放射線治療では、呼吸による肺癌や肝臓癌の移動をモニタリングしながら最小限の照射範囲で治療可能となっています。当院のRadixact(ラディザクト)搭載のSynchrony(シンクロニー)では、呼吸同期放射線治療の1つである動体追尾照射が可能で、腫瘍を追いかけ照射することで最小限の照射範囲により、通常の定位放射線治療と比べて副作用のリスクがさらに低下します。
(主な対象疾患)早期肺癌 転移性肺腫瘍 肝臓癌 転移性肝腫瘍 

5. 小線源治療(RALS)
外部照射が身体の外から照射するのに対し、小線源治療は放射線を出す能力を持つ小さな線源を体内に入れて身体の中から治療します。癌を認める臓器の中に小線源を留置し癌に集中して照射しますので、究極の高精度放射線治療ともいえます。当院では主に子宮頸癌を対象とし、RALS時にCT画像を撮像し癌に集中して照射し、正常臓器の線量は最小限となるように治療を実施しています。
(主な対象疾患)子宮頸癌 膣癌 子宮頸癌・体癌術後断端再発 

6. ラジオアイソトープ治療
ラジオアイソトープを用いて、甲状腺機能亢進症や甲状腺癌、前立腺癌の骨転移の治療を行なっています。 ラジオアイソトープを用いるので、治療後短期間ですが、周囲の方への影響を避ける必要があります。
(主な対象疾患)甲状腺疾患(甲状腺機能亢進症、甲状腺癌) 前立腺癌骨転移 

7. 温熱療法(ハイパーサーミア)
がん温熱療法(ハイパーサーミア)は、がんに的確にエネルギーを伝え加温し、がん細胞を壊死させるがん治療法です。
下記の3診療科で温熱療法を実施しています。
①の対象疾患については、安全で効果的な治療実施のため、年齢や併用療法など原則を設けています。
また予約枠に限りがあり、必ず当院で治療できるわけではないので予めご了承下さい。
ご希望される方は、②の受診方法をご確認のうえ、地域医療連携センターを介して外来受診予約をお取り下さい。

<整形外科>
① 四肢発生悪性軟部腫瘍:70歳までの方。また遠隔転移がなく、化学療法や放射線治療が併用可能な方。
固形がんの四肢発生転移性骨腫瘍:75歳までの方。また痛みが一定以上あり、全身状態が一定以上保たれ、通院での放射線治療が併用可能な方。
② 整形外科:火曜日と金曜日の新患外来。担当医:木村浩明。

<泌尿器科>
① 進行性の腎がん・前立腺がん・尿路上皮がん
② 泌尿器科:温熱療法でご紹介頂く場合、一旦、新患外来枠を受診して頂きます。温熱療法の実施時の担当医:永井隆。

<放射線治療科>
① 悪性腫瘍全般(脳と肺、眼周囲の腫瘍は除く):放射線治療が併用可能で、通院可能な方。
また温熱療法後は、継続して他診療科や紹介先医師のもとで経過観察可能な方。
② 放射線治療科:平日の新患外来。担当医:各曜日の外来担当医。



スタッフ紹介

(令和5年4月1日現在)
 役職  氏名  専門分野
部長・中央放射線部部長・教授 樋渡 昭雄 放射線治療全般
准教授 富田 夏夫 放射線治療全般、特に頭頚部癌、子宮頸癌、前立腺癌に対するIMRT、
肺癌に対する定位照射
助教 高岡 大樹 放射線治療全般、特に頭頸部癌、肝胆膵癌
助教 岡崎 大 放射線治療全般、特に乳癌、温熱療法
助教 丹羽 正成 放射線治療全般、特に小児癌
助教 鳥居 曉 放射線治療全般、特に子宮頸癌に対する腔内照射
病院助教 喜多 望海 放射線治療全般、特に肺癌に対する定位照射
臨床研究医 高野 聖矢 放射線治療全般
臨床研究医 小栗 雅之介 放射線治療全般

外来担当者一覧



放射線科について詳しく知りたい方

放射線科では、特設サイトを運営しています。
放射線科についての詳しい内容は、
名古屋市立大学大学院医学研究科 放射線医学分野ホームページを参照ください。

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