名古屋市立大学医学部附属みらい光生病院における医療事故等公表基準
意義
医療事故等について、その事実と対応策等を公表することには、以下の意義があり、その究極の目的は「安全で信頼できる医療の提供」にあります。
・医療事故等を公表することで、病院運営の透明性を高めることになり、市民・患者等の知る権利に応えるとともに、医
療への信頼を獲得することができます。
・医療事故等を公表することで、他の医療機関への情報提供にもなり、医療安全管理に資することができます。
・医療事故等を公表することで、病院運営の透明性を高めることになり、市民・患者等の知る権利に応えるとともに、医
療への信頼を獲得することができます。
・医療事故等を公表することで、他の医療機関への情報提供にもなり、医療安全管理に資することができます。
用語の定義
インシデント | 患者の診療やケアにおいて、本来のあるべき姿からはずれた行為や事態の発生を意味します。また、患者だけでなく、訪問者や医療従事者に、障害の発生した事例や障害をもたらす可能性があったと考えられる状況も含みます。障害の発生の有無及び過失の有無を問いません。 |
医療事故 | 疾病そのものではなく、医療を通じた障害の発生を意味します。合併症、偶発症、医薬品による副作用や医療機器・材料による不具合、不可抗力によるものも含みます。過失の有無を問いません。 |
インシデントの分類基準
インシデントの発生により生じた患者の障害の継続性及び障害の程度に応じて、そのレベルを次表のように分類します。
レベル | 障害の 継続性 |
障害の 程度 |
内容 |
0 | ー | ー | エラーや医薬品・医療用具の不具合が見られたが、患者には実施されなかった。 |
1 | なし | ー | 患者への実害はなかった(何らかの影響を与えた可能性は否定できない。)。 |
2 | 一過性 | 軽度 | 処置や治療は行わなかった(患者観察の強化、バイタルサインの軽度変化、安全確認のための検査等の必要性は生じた。)。 |
3a | 一過性 | 中等度 | 簡単な処置や治療を要した(消毒、湿布、皮膚の縫合、鎮痛剤の投与等)。 |
3b | 一過性 | 高度 | 濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折等)。 |
4a | 永続的 | 軽度~ 中等度 |
永続的な障害や後遺症が残ったが、有意な機能障害や美容上の問題は伴わない。 |
4b | 永続的 | 中等度 ~高度 |
永続的な障害や後遺症が残り、有意な機能障害や美容上の問題を伴う。 |
5 | 死亡 | ー | 死亡(原疾患の自然経過によるものを除く。) |
その他 | 暴言、暴力、クレーム、個人情報管理、倫理問題等 |
公表基準
- 上表のレベル4a~5に相当し、過失があると判断する医療事故は、原則として個別的に公表します。
- 上表のレベル3bに相当し、過失があると判断する医療事故は、包括的に公表します。
- 上表のレベル1~3aに相当し、過失が明らかであると判断するインシデントであって、患者の身体に重大な影響を与えるおそれがあった、又は公表が警鐘的意義を有すると考えられる場合には、包括的に公表します。
- 過失がないと判断する医療事故等であっても、社会的な影響が大きいと考えられる場合には、必要に応じて公表します。
- 全ての医療事故等は、統計的資料として公表します。
患者及び家族等への配慮
- 医療事故等の個別的公表に当たっては、患者及び家族に対して事前に十分説明を行い、原則として書面により同意を得ます。なお、同意が得られない場合は、患者及び家族の人権等に配慮し、公表は差し控えるものとします。
- 医療事故等の公表に当たっては、その公表する内容から、患者及び職員等が特定・識別されないように個人情報の保護に十分配慮します。
訴訟の結果等の優先
訴訟の結果又は和解その他の患者等との合意により、医療事故等の公表に係る特段の対応が必要であるときは、それらを優先することができます。
公表の決定
- 医療事故等の公表に係る意思決定を行うときには、医療事故予防対策委員会に諮問することになっています。ただし、訴訟の結果又は和解その他の患者等との合意により、医療事故等の公表に係る特段の対応が必要であるときには、直ちに意思決定を行い、事後に医療事故予防対策委員会に報告するものとします。
- 諮問を受けた医療事故予防対策委員会は、次の事項について審議し、答申します。この場合において、医療事故予防対策委員会は、委員以外の者に出席を求め、意見を聴くことができます。
・医療事故等による患者の障害の継続性
・医療事故等による患者の障害の程度
・医療事故等における過失の有無
・医療事故等の社会的な影響度
・医療事故等の公表の可否
・医療事故等を公表する場合における公表の内容、範囲及び方法
・医療事故等を公表する場合における公表までの手続きの正当性(患者及び家族への説明と同意、個人情報の保護
等)