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呼吸器・アレルギー内科


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診療科からのメッセージ

環境の変化や人口の高齢化に伴って、肺がん、肺炎、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性咳嗽、非結核性抗酸菌症、間質性肺炎など呼吸器疾患の患者さんは年々増加しています。私たちはEBM(データや根拠に基づいた科学的な医療)に則った医療を行いますが、患者さんお一人お一人には様々な身体的、社会的状況が個別にあります。患者さんとよくお話をし、呼吸器以外の全身の状態や年齢なども十分に配慮して、個々の患者さんに最適な治療を目指します。

診療科の特色

呼吸器・アレルギー内科は肺がん、肺炎をはじめとする感染症、喘息、COPD、慢性咳嗽、間質性肺炎など、肺や下気道(気管、気管支)の病気の診断と治療を行います。肺は常に大気を吸いこんだり吐き出したりしているので、目に見えない様々なもの(アレルギーの元や病原体、タバコなどの煙、種々の刺激物質や大気汚染物質など)と接触します。そのため、肺の病気の原因は、アレルギーや感染症、職業性、肺がん、COPD、間質性肺炎の発病リスクを高める喫煙、など様々です。またお薬や健康食品、あるいは膠原病、リウマチ、血液疾患など他の病気が肺疾患の原因になることもあります。私達はこれらの幅広い疾患に対応しています。呼吸器・アレルギー内科は、循環器内科、消化器内科とならんで内科の中でも最も患者さんの数が多い領域です。

診療・治療に対する心がけ

 このように、肺の病気の成り立ちは複雑です。私達は、患者さんのお話をよくうかがい、先進的で適切な検査により、より迅速、安全で、正確な診断を第一に心がけます。
 気管支鏡検査については、全国的にみても最先端の機器を種々保有しています。早期肺癌を発見する蛍光気管支鏡、末梢病変に対するガイドシース併用ラジアル型気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS)、リンパ節の病理診断に有用な超音波気管支鏡下針吸引生検法(EBUS-TBNA)、間質性肺炎や肺がんの診断のための経気管支凍結生検(クライオバイオプシー)、胸水・胸膜疾患の原因検索に有用な局所麻酔下胸腔鏡などを揃えています。通常の気管支鏡では到達しにくい肺の奥深く(末梢)にある病変に対しては、普通の気管支鏡の3分の2程度の細さの細径気管支鏡や、3分の1程度の細さの極細径気管支鏡を用いて検査します。喘息の難治例には各種生物学的製剤や気管支サーモプラスティ(気管支熱形成術)などの最新の治療法で対応しており、特に気管支熱形成術では全国有数の実績があります。また、ほとんどの患者さんで静脈麻酔薬を使用し、苦痛の少ない検査をめざしています。
 喘息や慢性咳嗽(長く続く咳)の診断や管理については、2012年4月より専門外来を開設し、呼吸機能検査、気道過敏性検査に加えて呼気一酸化窒素濃度(FeNO)測定、誘発喀痰検査、強制オシレーション法などの最先端の検査や質問票などを用いています。日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン」、日本呼吸器学会「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン」作成への参画や国内外の臨床試験の主導も行い、診断や治療が難しい難治例の患者さんにも国内最高レベルの診療で対応させていただきます。喘息、COPDなどの吸入療法では薬剤師が吸入のしかたを分かりやすくご説明し、医師、薬剤師、看護師が協力して患者さんの治療にあたっています。
 肺がんについては、病理部と連携して迅速かつ正確な診断と遺伝子検査の実施を心がけています。呼吸器外科や放射線科と協力しながら、病状・病期にあわせて適切な治療を行っています。化学療法では、科学的根拠に基づき、患者さんの年齢や体力などにあわせて治療薬を選択し、効果・副作用について十分にご説明しながら継続しています。副作用発症時には他診療科との協力体制さらに薬剤師や看護師との連携も整っており、安心して治療を受けて頂けます。また「西日本がん研究機構(WJOG)」に参加し、新しいがん化学療法開発の努力をしています。がんに伴う苦痛や不安に対しては、緩和ケアチームの協力も受けて少しでも心身のつらさが解消できるように配慮しています。
 肺炎、肺結核、非結核性抗酸菌症などの肺感染症については、微生物検査室や感染制御室とも連携し、ガイドラインに基づいて抗菌薬を選択して最適の治療をおこなっています。また、日本結核・非結核性抗酸菌症学会の非結核性抗酸菌症研究協議会の事務局を務め、「肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解」の作成にも参画しており、この病気についてわかりやすくご説明しながら診療しています。
 間質性肺炎については国際ガイドラインに従い、患者さま1人1人の情報を、院内で呼吸器内科医師、放射線科医師、病理医師が定期的に集まりディスカッションを行って診断と治療方針を決めています。このように、院内で複数の専門家医師でディスカッションを行っている施設はまだ日本では少なく最先端の医療を患者さまのために提供しているといえます。また、全国多施設前向き研究(JIPS registry)にも多くの症例を出し、日本全体の研究に貢献しています。
 私たちは、どのような検査、治療においても患者さんに丁寧にご説明をし、よくご理解をいただいた上で診療にあたります。

主な治療法

病名 症状・治療法
喘息 ハウスダスト・ダニ、ペット、花粉などのアレルギーの増加を背景に患者さんが増えています。黄砂やストレスなども喘息の悪化に関係します。近年では吸入ステロイド薬などの治療薬の進歩により、多くの患者さんで喘息は良好にコントロールできる病気になってきました。吸入ステロイド薬を中心とする治療を十分に行っても症状が持続するような治療が難しい患者さんには、抗IgE抗体療法、抗IL-5抗体療法、抗IL-4受容体α鎖抗体療法などの最新の治療法も導入致します。さらに専門性が高い気管支熱形成術も実施しています。長期にわたり治療がつづけられるよう、薬剤部と連携して吸入指導を行うなど、患者教育にも力を入れています。
慢性閉塞性肺疾患(COPD) 喫煙が原因であることがほとんどで、近年マスコミでも取り上げられ広く知られるようになりました。禁煙が第一の治療です。当院では禁煙外来を開設し、保険医療での禁煙治療をすすめています。息切れなどの症状に対しては、気管支拡張薬を中心とする吸入療法などをおこないます。喘息を合併する患者さんにも最新の診断・治療を行なっています。酸素欠乏が進行した場合は、在宅酸素療法やマスクによる陽圧人工呼吸療法も導入します。
慢性咳嗽 咳は患者さんが医療機関を受診するきっかけとなる一番多い症状であり、特に近年長引く咳でお困りの患者さんが増えています。何年も続く咳で苦しまれている患者さんも少なくありません。当科では豊富な臨床経験・実績と海外の専門家との情報交換なども活かした最先端の診療を進めています。詳しくお話を伺ったうえで各種の検査を施行し、原因の特定と治療をおこないます。
肺がん がんのなかで死亡患者数が最も多いのが肺がんです。病期と患者さんの全身状態により、化学療法、放射線治療、あるいはその組み合わせた治療、から選択します。化学療法では、最新の診断と科学的根拠に基づき、数多くの抗がん剤、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害剤の中から適切な治療薬を選択します。条件があえば、新しい治療法の開発のために臨床試験への参加をお願いしています。
悪性胸膜中皮腫 アスベスト(石綿)曝露との関連で近年患者さんが増加しています。呼吸器外科と手術の可能性について検討します。内科治療では抗がん剤および免疫チェックポイント阻害剤による治療が中心となります。
肺炎 人口の高齢化にともない患者さんは増加しています。適切な全身管理をしながら、ガイドラインに基づいて抗菌薬を選択し治療をおこないます。リハビリテーション部と連携し、寝たきりにならないように早期離床訓練をしたり、誤嚥性肺炎の再発予防のために嚥下機能訓練をおこなったりしています。
非結核性抗酸菌症 非結核性抗酸菌は結核とよく似た菌ですが、環境からヒトへと感染する病気でヒトへの感染性はないとされます。近年増加傾向で、とくに肺に病気をもたない中高年の女性や何らかの原因で免疫力が低下している患者さんにみられます。一般にゆっくりと進行する病気で、経過観察でよい場合もありますが、病状によっては抗結核薬を含む複数の抗菌薬を組み合わせて長期間にわたる治療をおこないます。
間質性肺炎 間質性肺炎は微生物の感染で起こる一般的肺炎とは全く異なる病気です。原因には膠原病、薬剤、居住環境のカビなどがありますが、全体の約半数は原因の特定できない特発性間質性肺炎です。特に特発性間質性肺炎の患者では、気管支鏡検査(凍結生検)および、世界的な標準方法である外科的肺生検(せいけん=肺の一部を取る)によって患者さん個々に合った適切な薬の選択を行っています。ステロイド薬や免疫抑制薬か、抗線維化薬であるピルフェニドン(ピレスパTM)、ニンテダニブ(オフェブTM)での長期治療を行います。病状や経過は個々の患者さんや間質性肺炎のタイプによって様々ですが、進行すると咳や息切れなどの症状が悪化します。この病気は、時に急速に悪化する場合があり命に関わることがあります。体内の酸素不足が不可逆的に進行した際は、在宅酸素療法が必要となります。
肺結核 罹患率の減少は鈍化しており、国内で未だ年間に2万2千人以上の結核患者が発生しています。排菌がみられる場合には、結核専門病院へご紹介の上での入院治療が必要となります。排菌のない場合には主に外来で抗結核薬の内服治療をおこないます。
気胸 肺の表面に穴が開いて、肺が縮んでしまう病気です。COPDなど肺の病気に関連して起こるものとそうでないもの(特発性自然気胸)とがあります。胸腔ドレナージという処置で肺の空気漏れを止めるようにしますが、肺の拡張が悪い場合は呼吸器外科に相談し、手術を行うこともあります。

スタッフ紹介

(令和7年6月1日現在)
役職 氏名 専門分野
感染制御部・教授 中村 敦 呼吸器感染症
准教授 大久保 仁嗣 呼吸器一般、間質性肺疾患
講師 田尻 智子 呼吸器一般、喘息、慢性咳嗽
講師 上村 剛大 呼吸器一般、呼吸器腫瘍
講師 金光 禎寛 呼吸器一般、喘息、慢性咳嗽
助教 福田 悟史 呼吸器一般、呼吸器腫瘍
助教 福光 研介 呼吸器一般、喘息、慢性咳嗽
助教 森 祐太 呼吸器一般、呼吸器感染症
助教 伊藤 圭馬 呼吸器一般、喘息、慢性咳嗽
臨床研究医 加藤 千博 呼吸器一般、呼吸器感染症
臨床研究医 伊藤 利泰 呼吸器一般
臨床研究医 田中 達也 呼吸器一般
臨床研究医 藤川 将志 呼吸器一般
臨床研究医 羽柴 文貴 呼吸器一般
シニアレジデント 柿原 章人 呼吸器一般
地域医療教育研究センター 教授 小栗  鉄也 呼吸器一般、呼吸器腫瘍

外来担当者一覧



医療設備

気管支熱形成術(サーモプラスティ)

重症の喘息患者さんを対象に気管支内視鏡を用いて行う新しい治療法で、内視鏡の先端からカテーテルを出し、気管支を温めることにより厚くなった気管支平滑筋を減少させ、喘息症状(咳など)や発作を抑制します。

ガイドシース併用ラジアル型気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS)

外径1.4mmの細径超音波プローブにガイドシースとよばれる管をかぶせて病変まで誘導し超音波にて病変に到達したことを確認したのち、細径超音波プローブのみを抜去し残したガイドシースに生検鉗子やブラシを挿入することで正確かつ確実に、同一箇所で何度でも生検や擦過が可能です。

超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)

気管支鏡の先端に超小型超音波装置を装着し、超音波のガイドにより気管支内腔からリンパ節などを生検します。

経気管支凍結生検(クライオバイオプシー)

先端部が-45℃の低温となるクライオプローブという道具を用いて、組織を凍結し、周囲ごと肺の組織を採取する検査です。
間質性肺炎や肺がんの診療に有用です。

局所麻酔下胸腔鏡検査

原因不明の胸水に対して局所麻酔下胸腔鏡を施行しています。専用の胸腔鏡ファイバースコープを用いて、胸腔内の観察と壁側胸膜の生検を行って診断を確定します。癌性胸膜炎、悪性胸膜中皮腫、結核性胸膜炎などの診断に有用です。

蛍光気管支鏡

肺がんが発する自家蛍光の変化を捉えることにより早期中枢型肺がんの診断を行います。

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