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当院について

広報誌「NEWS from west medical center」



第3号

いつかくる「その時」に向けて~西部医療センターの災害対応~

日本は、地震、津波、台風、洪水、土砂崩れ、火山噴火など数多くの自然災害に見舞われてきた災害大国です。30年以内に起こる確率が70~80%以上とされる「南海トラフ巨大地震」に対して、備えはできているでしょうか?

西部医療センターは、災害拠点病院として、災害時には、入院中の患者さんの命を守ることに加えて、数多くの被災傷病者の方々の健康を守る使命があります。しかし、災害の規模が大きい場合、人も物資も不十分なため「最大多数に最大幸福」を目標として、平時とは異なった方法で医療を行います。つまり、けがや病気の緊急度や重症度によって、患者さんを振り分け(これをトリアージといいます)、診察・治療に優先順位(赤・黄・緑・黒)を付けて、命の危ない患者さん(赤)を先に診察します。これを繰り返し訓練して、いざという時に迅速に災害対応ができるよう、職員全体で取り組んでいます。
また、医療を提供するためには、電気・水などのライフライン、物資、そして活動する職員の確保が必須です。これに対して、BCP(business continuity plan 事業継続計画)を策定し、災害時に医療を提供し続けるためには何が不足しているか?どこが弱いか?それに対して、どう改善し備えていけばよいのか?を考え、災害対応の強化に努めています。

病院長補佐 災害医療センター長
笹野 信子

災害発生時の西部医療センターの役割は?

・西部医療センターは、愛知県から地域災害拠点病院に指定されています。

・私たちの暮らすこの地域に、南海トラフ巨大地震などの災害が発生した時には、行政や医師会等と連携し、災害医療を行う地域の医療機関や、医師会の救護所等から重症患者を受け入れます。

災害拠点病院とは?

・「災害拠点病院」とは、災害時に多数発生すると予想される、重篤な救急患者の救命医療を行うための病院です。
・停電や断水時にも医療を継続できるように施設の整備をしているほか、3日間分の非常用電源や飲食料、医療材料等の備蓄をしています。
・院内では、DMAT活動検討委員会を中心として、定期的に災害発生時の対応訓練を実施し、災害時に速やかな診療ができるよう、日々努めています。

DMAT(災害派遣医療チーム)をご存じですか?

・DMAT (災害派遣医療チーム: Disaster Medical Assistance Teamの略)は、大規模災害や多数の傷病者が発生した事故などの現場で速やかに活動できるトレーニングを受けた医療チームのことで、医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成されます。

・災害の発生した現地に赴くだけでなく、大地震などで多数の重症患者が発生し、被災地の医療機関だけでは患者の治療対応が困難となった時に、被災地の外の医療機関に患者を搬送する役割も担います。

災害対応訓練の様子を紹介します

令和5年10月29日(土)に、災害対応訓練を実施しました。
今年度は初めて、医療救護所から重症患者を受け入れる訓練を、北区医師会、北消防署と協力して行いました。

▶平日の昼間に静岡県西西部マグニチュード9 最大震度7の南海トラフ地震が発生し、病院が震度6強の揺れに襲われた想定で訓練開始
▶外来患者を誘導するとともに、災害対策本部を立ち上げ、各部署での被災状況を確認した後、災害対応を決定
▶担当スタッフにより各初療エリアを設営後、患者受け入れを実施
災害対策本部

情報を集約し、災害対応の主要な方針を決定します。
トリアージエリア
来院患者の重症度を判断します。

緑:軽症 黄:中等症 赤:重症 黒:死亡
初療エリア
トリアージエリアから重症度別に各初療エリアで診療します。
患者さんの状態に応じ、帰宅、入院、他の医療機関への転院搬送などを行います。

第2号

不妊治療に総合的に取り組む「生殖医療センター」を開設しました

令和4年の出生数は、概数で77万747人と、統計開始以来初めて80万人を下回りました。これは国の想定していた時期より11年も前倒しの数値となります。令和4年4月から、不妊治療の一部は健康保険の適用になっていますが、出産数は右肩下がりです。

一方で、お子さんを授かりたいと希望しているにもかかわらず、授からず、不妊ではないかと心配な方、不妊治療に悩むカップルの方が少なからずいらっしゃいます。不妊症を心配して病院を受診したカップルは5.5組に1組といわれております。

このような社会情勢に対し、私たち医療者でできることは何かと考え、子どもが欲しいのになかなか授からない方の力になろうと、この度、すべての不妊症に総合的に取り組む「生殖医療センター」を開設しました。

不妊治療は自身の体に不具合を感じるわけではないので、なかなか初めの受診には勇気がいるかもしれません。ついつい仕事優先で治療は後回しになるカップルが多いと思います。また時に不妊治療は時間のかかることもあります。先が見えないこともあり不安になるかもしれません。是非、お子さんを授かりたいと少しでも感じたときは早めに受診してください。早く治療に入ったからこそ出会える命はあると信じております。思い立った時が治療開始の第一歩になります。スタッフ一同力になれるように努力してまいります。

副病院長 生殖医療センター長
梅本 幸裕

紹介します!生殖医療センター

  • 体外受精、顕微授精のほか、男性不妊症および不育症など幅広い不妊治療に対応します
  • 不妊治療中に入院処置が必要な時は、転院の必要がなく、西部医療センターで治療していただけます
  • 妊娠が成立した場合、ご希望の方は、西部医療センター産婦人科で出産まで継続して受診可能です
  • 生殖心理カウンセラーの資格をもつ公認心理師を配置し、不妊治療を精神面でも支援します
  • 治療から出産まで、病院が一体となり総合的に不妊治療に取り組みます

男性不妊

不妊の原因はおよそ半分が男性にあります。夫婦生活ができているから大丈夫というわけではありません。
不妊治療の初めは必ず夫婦で精査を開始することが一番大切です。不妊に悩むカップルは男性も気軽に受診していただき、パートナーとともに治療にあたっていきましょう。

女性不妊

不妊症の精査、タイミング指導、人工授精、体外受精/顕微授精などの生殖補助医療まで、保険診療を中心に行います。
総合病院である強みを生かして、男性不妊症や不育症、合併症のある方への他科との連携、子宮筋腫や子宮内膜ポリープなど不妊治療に伴って必要な手術も、当院婦人科において一貫して行うことが出来ます。

不妊症の精査、タイミング指導、人工授精、体外受精/顕微授精などの生殖補助医療まで、保険診療を中心に行います。
総合病院である強みを生かして、男性不妊症や不育症、合併症のある方への他科との連携、子宮筋腫や子宮内膜ポリープなど不妊治療に伴って必要な手術も、当院婦人科において一貫して行うことが出来ます。

不育症

流産あるいは死産が2回以上ある状態を不育症といい、3回以上連続する流産を習慣流産といいます。
不育症の原因は様々です。女性側だけに原因があるわけではありません。また、原因不明の場合も多いのです。
「不育症かもしれない」と思ったら、ぜひ当センターにご相談ください。まず不育症検査を系統的に行い、その原因に応じた治療を行いましょう。

生殖心理カウンセリング

不妊症や不育症に悩むカップルは、診断から治療、出産に至るまで多くのストレスを抱えていることが知られています。また、プライベートな話のために相談先がなく、一人で悩みを抱えている方も少なくありません。
生殖に関わる悩みや不安は、話して相談することが大切です。
つらいお気持ちを抱え込まず、ぜひ私たち生殖心理カウンセラーにご相談ください。あなたらしく治療と付き合っていきましょう。

ご存じですか?胚培養士

胚培養士(はいばいようし)は、胚(受精卵)を扱う専門職です。体外で精子と卵子を受精させて母体に戻すまでの間に、胚凍結や胚融解、培養などを行います。医学、生物学、発生学などに関する深い知識と高い技術が求められる、不妊治療になくてはならない存在です。
~早く治療に入ったからこそ出会える命はあると信じでおります。
スタッフ一同お力になれるように努力してまいります~

第1号

病院長あいさつ

病院長 大原 弘隆

皆さま、こんにちは。

2011年5月に名古屋市北区平手町の地に誕生した西部医療センターは、今年の5月に12年目を迎えることができました。その間、多くの市民の皆さまと地域医療機関の方々に育てられ、 順調に発展してまいりました。

2021年4月には「名古屋市立大学医学部附属西部医療センター」として、新たなスタートを切り、従来より力を入れてきた小児・周産期医療、がん医療、脊椎医療を中心に大学病院としてさらに高度かつ安心・安全な医療を提供しています。

今年度は、6月に硬膜外麻酔分娩(いわゆる無痛分娩)を導入し、がんゲノム医療・出生前遺伝医療・遺伝カウンセリングを横断的に実施する「ゲノム医療センター」を設立しました。

また、9月には、男性不妊症、不育症に加え本格的に生殖医療に取り組むため「生殖医療センター」を開設し、名古屋市の少子化施策に微力ながら貢献していきたいと考えています。

一方、西部医療センターは『地域に根差した大学病院』を理念として、名古屋市を中心とした地域の医療機関との連携をより一層深め、地域周産期母子医療センター、地域がん診療連携拠点病院、地域災害拠点病院などの基幹病院としての役割も果たします。そして、医療の基本である患者さんへの優しさやいたわりを一義とし、市民の皆さまにさらに信頼され、愛される病院をめざして、職員一同全力で取り組んでまいります。

今後も、どうかよろしくお願い申し上げます。

小児医療センターって、どんなところ?

小児医療センターは、主に0~15歳のお子さんの入院を受け持っている病棟です。

病棟内は、他の病棟とはかなり雰囲気が異なり、お子さんがホッとするようなかわいいデザインとなっております。病棟では小児疾患全般の検査や治療を行っており、肺炎や胃腸炎などの感染症を主体に、けいれん性疾患や川崎病、内分泌・アレルギー・腎臓疾患など、また、虫垂炎などの小児外科疾患、耳鼻科や口腔外科のお子さんにも対応しております。

また当院の小児科には、内分泌、アレルギー、新生児、神経、腎臓、循環器、血液・腫瘍、遺伝、児童精神など多彩な専門家が常勤しており、幅広い病気の治療を行っております。
病院に保育士がいることをご存じですか?
小児医療センターには保育士が配属されており、お子様やご家族が少しでも安心して入院生活を送ることが出来るように努めています。

入院という体験が子ども達やご家族にとって「乗り越えられたプラスの体験」となるよう願いながら、限られた空間の中でも季節が感じられるような展示やイベントを行っています。

また、プレイルームやベッドサイドでの遊びの提供や「30分保育」を行っており、子ども達と家族の不安やストレスを和らげ、安心感と安らぎを与えられるように医療スタッフと共に向き合っています。

NICU/GCUって、どんなところ?

NICUは治療を必要する赤ちゃんのための集中治療室です。

あかちゃんが治療を必要とする原因は様々ですが、内科系疾患や外科系疾患を含め(一部疾患を除く)必要とされている最先端の医療を提供しています。

入院中の赤ちゃんはご家族とは離れ離れになってしまいますが、それでも赤ちゃんが家族の一員として迎えられように、医師、看護師、助産師、臨床心理士、メディカルソーシャルワーカー等の多職種が連携して、赤ちゃんとご家族をサポートしています。そして、退院後も安心して過ごすことができるように調整を図っていきます。

赤ちゃんの救急車「カンガルー号」

西部医療センターの病院救急車「カンガルー号」。
主に、NICUに入院するあかちゃんの救急搬送を担っています。
まちで見かけたら、救急車の中で頑張っているあかちゃんを、そっと応援してくださると嬉しいです。

「楽しく、なが~く続く」運動療法教室コーナー

第1回「誰でもできる運動入門編」 今回のキーポイント「簡単!安全!効果的!」
「楽しく、なが~く続く」運動療法教室コーナー
第2回「変形性膝関節症の発症と悪化の予防」
今回のキーポイント「根拠に基づいた運動」

第3回「椎体(背骨)の骨折の予防=背筋強化」
今回のキーポイント「曲がらない身体づくり」

栄養管理科 メニュー紹介

~西部医療センターで実際に提供している病院食をご紹介します~

豆腐ハンバーグきのこソース
コレステロールが気になる方や、体重を減らしたい方にお勧めです。
さわらのねぎ塩焼き
塩分を控えたい方にお勧めです。

白菜と鶏ひき肉の重ね蒸し

胃腸が疲れているときにお勧めです。

対談:地域とともに

第1回 北区医師会長 小林 邦生先生&病院長 大原 弘隆

大原:小林先生、北区の医師会長のお勤め本当にご苦労様です。
西部医療センターですが、大学病院化して早くも2年半前になるわけですけれども、それに対しての印象は何か「ございますか?

小林:名古屋市立から大学病院化しても、我々には違和感が全然なく、いつも通り親しみやすい病院のままでいていただいている印象ですね。だから全然変わりなく、ちょっといろんなお願いをしたりできるかなと思っているんです。
それと西部さんのCT やMRIなどのワンタッチ外来が、本当にすごくいいなと思います。検査をぱっとオーダーできる点がとてもいい。よその病院にも入れて欲しいなって思っているぐらい素晴らしい。
西部医療センターの「地域に根ざした大学病院」、以前からの「患者さんと職員の笑顔が見られる病院」というようなものを、守りながら12年目ですよね。私が父の医院を継承して13年経って、もう14年目に突入するんですが、城北病院の時代から西部さんが、立ち上がるところ最初から見ていて思うのは、前にも増して、地域に根ざした医療を今も着々と進めているなと思います。
大原:本当にありがたいことに、西部医療センター以前から、非常に紹介率が高く、先生方からのご紹介で成り立っている病院です。私が思うに、私どもの地域医療連携室のスタッフが先生方と本当に良いお付き合いをさせていただいていることも一つの要因になってることはないでしょうか。

小林:紹介するときに地域医療連携室の方の顔が浮かぶんです。顔の見える関係作りができているなって思います。西部さんの地域医療連携室の方々に、親しみのこもった連携をしていただいているので、気持ちよく紹介ができて、引き受けていただいて、本当に助かっています。
(コロナ禍において)
小林:コロナ禍の第8波とか第7波の時は、我々もコロナじゃない患者さんで状態が悪いから紹介をという時、受けているもらえる時ともらえない時はたしかにありましたけと、そういう苦しいときでも、でもまず第1に浮かぶのが、西部さんだった。「西部さんにまず連絡とろう」というふうに思う病院だと私は思っております。本当にありがとうございます。
大原:そう言っていただけると本当にありがたいなと思います。コロナのときは、私どもも市大病院と東部と連携して、患者さんを受け入れていたんですけど、コロナ患者さんの多いときは、先生方のご紹介を全部受けることができず、本当に心苦しい気持ちがありました。

小林:いやもうどこの医療機関もそうだと思います。西部さんに限ったことじゃなく、全国でそういうことが起きたと思うんです。
(SAVEネット)
大原: 先生はSAVEネットも使っていただいているんですか?
小林:使っています。主には、紹介した患者さんがどうなったというのが気になるときに使用しています。すごく悩んだ症例だけど、どういう検査を受けてどうなったかなという点が知りたい。この病気だったのだろうなって思っていたのが、全く意外な病気だったりというのもありますし、勉強させていただいております。

(共同利用)
小林:CTや MRI、内視鏡や心臓超音波の共同利用も便利に使わせてもらっています。特に循環器のワンタッチ外来っていうのは他所にない。心エコー検査や、冠動脈リスク因子であったり、狭心症のスクリーニングなどもそうですし、血圧のコントロールがもうどうしてもつかない患者さんがなかにはいらっしゃるので、ご紹介させてもらって使ったりしておりますし、ダイレクトCFも他にはない。内視鏡・大腸内視鏡も手術歴がある難しい人は別ですけど、便潜血で引っかかったとかっていうときに、我々ができないときにお願いできたりしていて、とてもありがたいなと思っています。CT・ MRIも枠が増えて、MRIは特に助かっております。ありがとうございます。

大原:ありがとうございます。
(西部の新しい取り組み)
小林:生殖医療センターがオープンして、少子化に少しでも光が差す、そういう医療が始まる。ニュースでもやっていましたけど、11.7人に1人の方が生殖医療で産まれていると。以前はもう少し先に14人に1人になるという話だったんすけど、もう加速している。
大原:いろいろな要因がもちろんあると思いますし、制度や医療者のできることは限られてますけれども、少しでも名古屋市の少子化対策の一助になればと考えておりますので、よろしくご指導よろしくお願いします。
小林:エコチル調査っていうのがあるんですけど、あれ、この北区が選ばれたのは、西部さんがあったからと私はお聞きしています。地域の子どもたちが、赤ちゃんのお母さんのおなかの中にいるときからの調査がずっと今、うん、中学3年ぐらいまで縦断調査で終わって今また延長してやっていますよね。もうじき5年だと思うんですけど、それがずっと続いているのは西部さんのおかげだって聞いています。

(小林会長の取り組み)
大原:先生は、本当に多くの新しい取り組みを始めてお見えですよね。
(入退時院連携パス)
大原:北区入退院連携パス構想について教えていただけますか。
小林:在宅医療介護連携委員会担当副会長の佐野先生が中心になっています。
介護保険を使用している人だと、救急搬送等で急に入院した人について、ケアマネさんや訪問看護師さんが一番最初に入院したことを知って、病院とかかりつけ医の間で主治医の情報を伝えたり、入院したことを主治医に連絡くださる。そういう最初の連絡から、患者さんの情報のやり取りを密にしようという発想です。
急に入院するわけですから、入院中に状態がどうなるかは当然わからないし、その後、もちろん状態が刻々と変わるわけですけれど、入院した早い時期に、退院に向けて、「今の治療がうまくいったらまた元に戻れるけれど、ちょっと状態がひどければ、家に帰るのは難しいよ」とか、「家だと前はこうだったよ」というフィードバックを最初の時点である程度話し合っておける。また、病院の皆さんは、救急搬送された人がどんな人かわからないと思うんですよね。そこで色んな情報をパパッと最初に手に入れられるようにする。だから入院で担当する先生にもメリットが大きいです。我々も「あの人急に入院しちゃった」っていうのを後から聞くことがよくあって、びっくりすることが多いんですけど、それを何とかしようというツールとして、はち丸在宅介護支援センターのワーキンググループで、佐野先生が中心になって作っていただいた。

(じぶんカルテ)
小林:「入退院時連携パス」はその周りに多職種の人がいてくれてのお話なんですけど、いない場合をどうするかっていうときに、「じぶんカルテ」っていうものなんですけど、「自分にはこういう既往歴があって、こういう治療を受けて、採血データは今こういうふうで、お薬は何を飲んでいて」というのを絶えず自分で持っていてもらいたいなということを考えています。あとは自己紹介も兼ねてですけど。身寄りがあるのかないのかと緊急連絡先とか、意識がなかったら、喋ってくれないので、そういうのも情報として入れたいなっていうのがあって。そういうのをみんなに持っていてもらったらいいだろうと思いました。

大原:いわゆる今、医療DXで言うと、スマホの中にある医療データ、いわゆるパーソナルヘルスレコードを携帯するというものですね。
小林:そのアナログ版です。状態の悪くなる人がデジタルに強ければいいんですけど、そうじゃない人が圧倒的に多くて。あと我々もですけど電子カルテで管理していて、特に災害時とか、電源がなくなった場合のことを考えると、やっぱり最後は紙なのかと考えました。電源落ちたらカルテも見られない状態なので、それを一番私心配しているんです。何もない状態で、やっぱり勝つのはアナログかなと。よく財布とかカバンにお守りを入れる方がみえますけど、お守り入れるように持ち歩いてもらう。御朱印帳集めが趣味の人がいますが、「じぶんカルテ」も、なんか集めたくなるようなもの、「これなら持ってもいいな」って思えるものを作りたい、というのが私の今の課題です。10月に行われる、「きた・きたフェスタ」で披露することを予定していますが、なかなか私に絵心がないのでちょっと今止まっています。

大原:本当に素晴らしい取り組みだと思います。

小林:造影CTやりたいとかっていうときに、腎機能がわかるまではできないじゃないですか。腎機能が悪いとできないとか、あと喘息の既往あったらちょっと造影剤入れられないとか。「自分カルテ」の既往歴にそういうことは書いてあったら、例えば採血データが貼ってあって「腎機能は良いんだ」っていうのがわかったら、スピーディーに治療にかかれるんじゃないかなって思っているんですよね。そうやって活用していただきたいんですけど、区民まつりにこの重たい何か(⬅消してください)ちょっと真面目な話を持っていくっていうのがなかなかちょっと難しい課題なんですけれども、やっぱり、とても大事なことだと思います。
(CKD病診連携)
大原:最近、西部医療センターも一緒にやらせていただいたCKD診療情報提供書ですね。少し先生ご説明いただけますでしょうか?
小林:これはですね、中村区で腎臓に強い病院がありまして、中村区医師会と病院との間で、腎臓病について、どういう状態の時に早めに相談しましょう、ちょっと困ったら相談しましょう、というような連携の取り組みがあるんですね。まだ始まったばかりなんですけど。私と、西部医療の菅先生とで同じ講演を聞きまして、菅先生から「素晴らしい。さらに工夫して、簡便な地域連携診療情報提供書を作ってみませんか」と提案していただきました。
腎臓の機能がだいぶ落ちていて、すごく急いで診なきゃいけないっていう、スピード感を持ってみなきゃいけない人と、ちょっと状態が落ちてきたから、1回診てもらいたいけどスピード感はそんなに必要なくて、1ヶ月以内に行きましょうねという人用の2段階に、チェックボックス式で選択できるフォームを菅先生がわかりやすく作ってくださって、他の地区にはあまりない診療情報提供書が、北区で出来上がったんです。
腎臓の専門医じゃないようなかかりつけの先生方も、心配な症状をチェックボックスで選択していって、そこで緊急度の具合がわかる。ここが心配だな、悪いなっていうところを、データを見てチェックしていくと、自然に緊急度が選択されるというのはすごくわかりやすくていい。これは西部だけではなくて、北区の医療機関さん全体で展開していくといいと考えています。これからはこのCKD診療情報提供書の重要性が発揮していくのが楽しみです。この北区で始まりましたけど、よその区にもPRしたいところで、名古屋市医師会でも宣伝していきたいなと考えています。
(心不全受診目安)
大原:なるほど。心不全の連携についてはいかかでしょうか。
小林:心不全連携については、西部の循環器内科さんが作ってくださいました。北区の病院の中で、心臓に強い病院と心臓に専門医がいない病院もありますので、皆さんと連携を組むときに、どういうときにすぐ送るべきかというのをわかりやすくしてもらいました。受診の目安や紹介の基準を共同で作ろうと今一緒に取り組んでいます。
厚生労働省のホームページに「地域のかかりつけ医と職種のための心不全診療ガイドブック」というPDF冊子があります。循環器の専門医だけで、今心不全を診るというのは、キャパシティ的に無理だと思うんですね。心不全1年に30万人はかかる、心不全パンデミックの時代だということで。それを、落ち着いた人は、かかりつけ医で診て、ちょっと悪くなったらすぐ、専門医に診療の相談できるっていう連携が大事だよという内容なんですけど、専門医に紹介する・しないの基準を明確 にしておかないと、みんなも混乱してしまう。だいぶ悪くなってから送っても、専門医の先生方も困るし、そんな悪くないのに送られてもちょっと困るしっていうのがありますよね。そこで、症状をチェックしていくと重症度がここに当てはまるというのがわかるような診療情報提供書を西部さんと作っています。かかりつけ医の立場だと、様式が病院ごとでバラバラだと大変なので、丁度、他病院の病診連携の会議でこの話をしたら名古屋医療センターさんも興味を持っていただいて、自分たちも一緒にやりたいと言ってくださり、一緒に話し合いを始めるところです。今後は北区の病院プラス、近隣の病院も一緒に作っていきましょうと考えていますね。
慢性心不全は本当に最近急増していると感じますね。ひとつは、心臓や慢性心不全に対するお薬や、リハビリなど、治療が進歩してきたということだと思うんですけど、それが故に、入退院を繰り返してしまう。
いきなり専門医に受診するのではなくて、まず症状の軽い患者さんは我々かかりつけ医で塩分制限や利尿剤の調整などできることをやって、それでも駄目なときに最後の砦として専門の先生方に診ていただくようにしていかないとと考えています。
もうひとつは、ちょっと悪くなってきたときに、心不全になってしまう前に心臓の機能をちゃんと評価しておくべきかなというのがありまして、心臓の検査で、BNPやNT-proBNPの数値が、ちょっとだけ高い、怪しいから専門医に診てもらいたいなっていうときに、西部のワンタッチ外来での心エコー検査の枠を増やしていただいているので、それはすごくありがたいです。それから、ちょっと冠動脈の疾患が疑われる場合、冠動脈のリスク評価の外来も設けていただいているので、ありがたく使わせていただいているというところです。
腎臓が悪くて私たちが診ている患者さんで、いきなり心不全が出てくるんですよ。1つの臓器だけ診ていちゃ駄目だなっていうのを、今自分の患者さんを診療していて感じるんです。予防という意味では、いつ心不全が起きてもおかしくないっていうのを頭に入れとかないといけない。それがなかなかできていないうちにいきなり心不全になって入院させてもらった患者さんがいるんですけど、退院して、また私の外来に来る前にまた調子悪くなって、1ヶ月以内に2回もお世話なっちゃうことがあった。やっぱり本当に心不全は、突然来て怖いなっていう印象あります。だから、あらかじめ、どの程度の心臓の機能なのかっていう評価をしていただくのと、いよいよ悪くなったら、治療の依頼ができて、あと、心不全が起きた人に再発予防のためのリハビリを依頼したいなっていうのもありますね。西部の心臓リハビリの依頼は、入院中の人がメインだということだったんですけど、外来でもやってもらえたらありがたいなあ、というのがあります。
(2人主治医制)
小林:2人主治医制についてですが、地域連携パスで、私達がずっと紹介していると専門外来がパンクしてしまうんじゃないかというのを心配していまして、逆紹介を増やしましょう、かかりつけ医と専門外来で患者さんを継続的に診ていこうという取り組みです。
北区の病院は病院全てが仲が良くて、みなさんで集まって意見交換会をしていますが、かかりつけから「紹介」するのはいいですけど、専門外来がパンクしてしまっては困るので、落ち着いている人は「逆紹介」を是非どんどん増やしましょうって提案してみたんです。そしたら、ある病院では「逆紹介」を患者さんに提案するとすごく嫌な顔をされて「私を見捨てる気か」とか「私を島流しにするのか」とかいう声があって、なかなかうまくいかないという話を聞きました。どうしたらいいかなって色々考えていたんですけど、ちょうど「複数主治医制」というのがあるのを知って、できたら、「紹介」や「逆紹介」という言葉を使わずに、2人目の主治医を作って、全体を診るかかりつけ医がいて、自分の病気の一番ネックなところは専門外来の先生にお願いして、落ち着いたらかかりつけに戻ってきてもらう。見捨てるんじゃなくて、ちゃんと診るよと。西部の専門外来だと3ヶ月に1回ぐらい患者さんもいると思うんですけど、そういう人を6ヶ月後にまた来てねって。そういうときに診療情報提供書を1枚書いてもらってきてもらって、受診してもらう。それからもっとめちゃくちゃ落ち着いて人は1年に1回でいいよって。そのときに専門医の先生が、今の状況を簡単に書ける診療情報提供書を作成して、専門外来で診て治療方針の方向修正を加えてもらって我々にまたフィードバックしてもらうとよりいいかなと思っていて。専門外来だとその専門領域しか診てないときもあると思うので、他の領域は我々かかりつけ医が総合的に幅広く浅く、深く狭く診るのは専門医の先生にお任せする、その使い分けが大事かなと思っています。これは私1人でできないことですので、診療情報提供書の要件を満たして、なおかつ作成の負担が少なく簡便に作成できるものを作っていきたいと。簡潔にいろんな情報がサマリみたいにまとまってやり取りができて、この治療はこうしようってアドバイスもらったり、困っていることを、簡単にやり取りができて、的確なアドバイスをいただけると我々は助かるというのがあります。
大原:小林先生、本当にすごいスピードですね、
小林:北区医師会で、3本立てか4本立てで私のやりたいことを走らせていますが「患者さんに関わる色々な立場の皆さんがスムーズにやり取りができるようになり、患者さんによりよい診療を行えるような工夫をしたい」という点を心がけています。
大原:3つや4つのことを同時進行とは、とても大変ですよね。
小林:私1人ではできないことばかりですので、医師会・西部さんと、また他の北区の9病院へ合わせて一丸となって、進めていきたいなと思っています。色々とご指導いただきたいと思いますよろしくお願いします。
大原:他の9病院とともにですね、医師会の先生方にこれからも育てていただければ、大変ありがたいと思っています。ぜひどうかよろしくお願いいたします。
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