グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



東部医療センター広報誌「風の道」

風の道vol.38(2024年8月発行)


より良い医療を目指して ~東部改革~

今回の東部医療センター広報誌「風の道」は循当院でも勤務経験があり、今年の4月に新たに「愛ふくろうクリニック」を開業された大曽根大典院長をお招きし、当院の眼科 野崎実穂診療科部長と対談していただきました。対談では、眼科診療の現状と、当院の「眼科・レーザー治療センター」の紹介など、眼科診療の地域医療での役割などについて意見交換を行いました。

:愛ふくろうクリニック 大曽根院長
:当院眼科 野崎診療科部長

野崎
本日はよろしくお願いいたします。ご開業したばかりかで大変かと思いますが、「愛ふくろうクリニック」での、普段の診療の様子などを、ぜひお聞かせください。

大曽根 
こちらこそ、よろしくお願いいたします。おかげさまで4月に開業をさせていただきました。網膜疾患や緑内障など、眼底疾患を中心に診察しております。また、往診も積極的に行っております。往診においては、家族や友人のサポートが非常に重要となります。実際に私が往診に行った80代の女性の方は、点眼しようとすると暴れてしまうので、その方の旦那さんが体を押さえて、娘さんが点眼するようなケースや、友人や知人がサポートをして点眼するようなケースもあります。眼の治療において、点眼は重要となります。できるだけ点眼の回数が少なくなり、家族の負担や患者さんの苦痛も軽減されるような方法を考えて治療するように心がけております。

野崎 
緑内障の患者さんの場合は、点眼を継続していただくことが大切ですし、眼圧の経過観察も必要になりますよね。

大曽根 
はい。眼圧の状況は経過を見て、一定のところで保てるように点眼を調整しています。患者さんの生活の質(Quality of life:QOL)が下がらないようなお手伝いができたらとの思いで往診をしています。

野崎
目が見えなくなってしまうと、認知症のような症状になったり、引きこもりになったりしてしまう方もいるので、病院に通院するのが困難な地域の方々のQOLを保つという側面からも、眼科の往診はとても重要な役割かと思います。

大曽根 
往診でお邪魔している患者さんの中には、診療が終わると手を合わせて感謝を伝えてくださる方もいらっしゃって、とても励みになります。

野崎 
そういう方がいらっしゃると、やりがいがありますね。
往診でお邪魔している患者さんの中には、診療が終わると手を合わせて感謝を伝えてくださる方もいらっしゃって、とても励みになります。

大曽根 
確かに市大病院の患者さんよりは、ご高齢の方が多いと思います。

野崎 
ご高齢の方でも、一人で来院される方も多いので、東部に来ることが健康の秘訣なのかなと思っています。

大曽根 
東部医療センターまで歩いてくることも、よいフレイル予防になっているのかも知れませんね。

大曽根院長

大曽根 
昨年より、東部医療センターに眼科・レーザー治療センター(以下、センター)を開設されたと聞きましたが、センターの治療や特徴等について教えてください。
野崎
最近は薬物治療の進歩により、“古典的”なレーザー治療は少し下火になっていました。“古典的”なレーザー治療は、組織を破壊する痛い治療のイメージでしたが、センターでは、新しいレーザー治療装置や眼科画像撮影装置を導入して、低侵襲の治療が可能となり、患者さんにとってより気軽に目の治療を受けやすい環境となるように工夫しております。

大曽根
そうなのですね。昔のレーザー治療は、痛くてつらいイメージでしたが、最新のレーザー治療は、悪い部分を抑えて、良い部分を元気にさせるという新しい治療の形に変わってきていますね。

野崎
そうですね。たとえば、センターでは、患者さんの目が動いても、追いかけて狙った病変にレーザーを安全に照射できる機能(ナビゲーション機能)のあるレーザー装置での治療や、中心性漿液性網脈絡膜症といった網膜の中心に薄い網膜剥離が起こる病気には閾値下レーザーをすることによって細胞を活性化して、網膜を正常化させる治療も行っています。レーザー治療は外来でできるので、入院しての手術を敬遠されていた方が外来でのレーザー治療を希望することは増えています。
糖尿病の方で昔からレーザー治療をしてきている患者さんの中には、レーザー装置の進歩により、治療をする際にレーザー用のコンタクトレンズを入れなくて済むようになったり、まぶしくなくなったことを喜ばれたり、驚かれたりしています。
また、センターには、光干渉断層血管撮影装置があり造影剤を使用せずに毛細血管が閉塞している部位がわかる画像が撮れるので、その画像と患者さんの眼底を重ね合わせて病変をプランニングすることができるようになっています。
いずれも、患者さんの負担軽減となっております。

大曽根
安全かつ非常に高度な治療が受けられるということですね。また、造影剤を使用しなくて済むことは、患者さんにとってのリスクの軽減になるので、非常に良いことですね。センターにある装置では、造影剤の検査と同じくらいの範囲の画像が撮れるのでしょうか。

和田
そのような場合にも連携しながら患者さんのケアをしていく必要がありますね。これからがん患者の増加に伴って、そのような患者さんへの精神的なアプローチの方法を一緒に考えなければならないと感じます。先生が呼吸器外科で活躍されていた時と比べ、緩和ケアの対応に何か変わった点がありますか?

石黒
自分が思っていた以上に終末期を家で過ごしたいという要望のある患者さんがいますね。また、訪問看護師やケアマネージャーなど様々な職種が連携することにより、負担を軽減しながらお家で過ごせる時間を作る機会が増えていると思います。いろいろな職種の方が意識高く勉強しており非常に良いと思っています。

野崎
そうです。広い範囲撮れます。ですから、先生の周りにも希望する方がいらっしゃいましたら、ぜひご紹介ください。予約なしでも光干渉断層血管撮影装置の撮影は可能ですが、できれば予約してからお越しいただけると助かります。

大曽根
はい。その時はよろしくお願いいたします。最近では、加齢黄斑変性症の薬の種類も増えてきたようですが、注射の件数も増えているとお聞きしましたが、実際はどうですか?

野崎
硝子体注射の件数は、増えてきています。ただ、以前に比べると悪くなったから注射するという方が少なくなってきていて、一度注射したら、次回はいつ注射するかを計画的に決めて悪くなる前に注射を打ちに来られる方が増えています。予定日に来院されて、目の調子が落ち着いていれば、注射を少し延ばすようにして、できるだけ患者さんの負担を減らして視力を維持できるようにと考えております。

大曽根
そのように、いろいろと工夫をされているのですね。一定のペースで注射ができると、気がついたら悪くなっていたという事が起こりにくくなって、患者さんも安心できると思います。
話が変わりますが、センターでの緑内障の治療では、点眼薬による治療以外にどのようなものがありますか。
野崎
緑内障手術では、主に流出路再建術(眼内法)を実施しています。白内障手術と同時に行えば、白内障手術の際につくる創口から緑内障の手術もできるので、大幅に時間が短縮できます。また、市大病院では行っていなかった新しい手術にも取り組んでいます。ひとつは、「iStent」という直径0.36mmの非常に小さなチタン製器具を隅角(眼圧の元になる房水の出口)に植え込んで、眼圧を調整する手術で、白内障手術と同時に行います。また、マイクロシャント手術は、手術時間が短く、術後の合併症が少ないので、ご高齢の方が多い東部医療センターでは、適応になる方が結構いらっしゃる印象を持っています。
 他にも、緑内障の手術ができない方には、マイクロパルスレーザーを利用した治療もあります。マイクロパルスレーザーの治療は外来で行うので、患者さんにも選択しやすいかと思います。

野崎診療科部長

大曽根
患者さんにとって、多くの治療の選択肢があるのはとても良いことですね。緑内障の患者さんは、点眼をすることによって眼圧を低く維持することが大切なのですが、受診前だけ点眼するなどなかなか継続して出来ない方もいるかと思いますが、何か良い治療法はないでしょうか。

野崎
そうですね。点眼できない方、ムラのある方はいらっしゃいますね。センターでは、房水の排出路の線維柱帯にレーザーを当てる選択的レーザー線維柱帯形成術という治療も可能です。こちらの治療は、排出路の目詰まりを解消し眼圧を下げることで、緑内障の進行を予防する治療となります。
 センターでも実際に、点眼がきちんとできていなくて、眼圧が上がり、選択的レーザー線維柱帯形成術を実施したところ、眼圧が落ち着き、その後は、朝1回娘さんが点眼するだけで、病状が落ち着いている方もいらっしゃいますので、継続しての点眼が難しい方には、選択的レーザー線維柱帯形成術も治療のひとつとして考えていただくことは良いかもしれません。

大曽根
緑内障の点眼薬は費用が高いものもあるので、少しでも点眼の回数が減るのは患者さんにとっても経済面で良いことだと思います。
白内障の治療について質問させていただきますが、東部医療センターには、一般的な白内障だけでなく、複数の合併症がある重症な方が来られることが多いと思いますが、そのような方の治療について詳しくお聞かせください。

野崎
そうですね。もちろん白内障の患者さんもたくさん来られますが、白内障プラス緑内障の方や白内障プラス網膜の病気などのいくつも病気を抱えている方が来られます。そういった患者さんが治療しやすい方法を多く用意しておくことは、地域の総合病院として大切な役割かなと感じております。

大曽根
眼の病気以外に、複数の病気のある患者さんに対しては、複数科での対応が必要となることがあります。そのような際にも、東部医療センターのような総合病院へお願いできる体制があることは地域医療として、とてもありがたいです。内分泌・糖尿病内科や脳神経内科からのバックアップの支援が受けられることも、センターの大きな強みかと思います。

野崎
そうですね。ここまでセンターの話をしてきましたが、大曽根先生の「愛ふくろうクリニック」について、教えてください。

大曽根
クリニックの診察時間は、月・水曜日は19時~22時、金曜日は9時~12時、土曜日は15時~18時です。予約制となりますので、事前にお電話ください。また往診も行なっております。千種区、東区を中心に訪問をしておりますが、ご希望があれば一度電話でご相談ください。東部医療センターに通院中の方は、地域医療連携室にご相談ください。

野崎
高齢化社会の中で、眼科の往診はこれからもっと需要が増すかと思います。今後もよろしくお願いいたします。本日はお忙しい中ありがとうございました。

協力いただいた連携医の紹介

眼科・レーザー治療センター開設1年が過ぎました

眼科・レーザー治療センターのスタッフ
(写真中央:野崎センター長)

東部医療センターに、眼科・レーザー治療センターが開設され1年が過ぎました。念願の眼科外来拡大工事も終わり、最先端の画像検査機器と、白内障・緑内障・網膜疾患を治療できる各種レーザー機器を、一部屋に設置することができ、患者さんの動線も格段に良くなりました。現在、当センターでは、従来の治療で改善しない難治性黄斑浮腫や緑内障に対する低侵襲レーザー治療に、特に力を入れて取り組んでいます。おかげさまで、ナビゲーション機能搭載レーザー装置による治療を目的に、愛知県内外から患者さんのご紹介も多数いただいております。また、若手医師の網膜レーザーの技術の獲得および向上のため、メーカーと共同でレーザー用モデル眼球の作成にも取り組んでいます。これからも眼科レーザー治療に関して、スタッフ一丸となって治療・研究・教育に取り組んでいく所存です。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

ヘルシーレシピ~栄養管理科~

当院の管理栄養士が、栄養やカロリーを考慮したヘルシーで美味しいレシピをご紹介!ご家庭にある材料で簡単に作ることができるレシピです。是非お試しください♪

トマトと大葉の浅漬け

★栄養量(1人前)

カロリー・・・・・68kcal
たんぱく質・・・・1.9g   
脂質・・・・・・・3.8g
炭水化物・・・・・7.9g
材料(2人分)
ミニトマト 10個
大葉 2枚
生姜チューブ 小さじ1/2
白だし 30ml
いりごま 大さじ1
ごま油 小さじ1
レシピ
①ミニトマトは洗い、ヘタを取って半分に切る。
②大葉は洗って千切りにする。
③袋にミニトマト、大葉、調味料を全て入れ、軽くもみ、冷蔵庫で約1時間くらい漬けておく。
④器に盛りつけて完成。
☆トマトについての豆知識☆
トマトには美肌効果や風邪予防に役立つビタミンC、老化を抑制するビタミンE、塩分の排泄を助けるカリウム、腸内環境を整える食物繊維をバランスよく含んでいます。夏に旬を迎える野菜であり、積極的に食べられると良いでしょう。
  1. ホーム
  2.  >  東部医療センター広報誌「風の道」
  3.  >  風の道vol.38(2024年8月発行)